――泰さんが『ハコヅメ』を描いたきっかけは何ですか?

 私は、もともと警察官で、警察のことをより多くの人に知ってもらいたいと思ったことですね。

――その手段として漫画を選んだわけですね。

 そうですね。漫画じゃなくてもよかったんですけど、手っ取り早くて齟齬なく通じるかなということで漫画にしました。それでネットで調べると《職業漫画といえば「モーニング」》とわかったので、送りました。

――最初からご自身が警察官であると、明かしていたんですか?

 最初は身分を隠していまして、見た人の2割くらいが「この人は警察官だ」とわかるくらいの匙加減にしたつもりだったんですが、実際には担当してくださった方から「こんなの僕と編集長の二人しか気づかなかったですよ」と言われましたね。

――そこから『モーニング』で連載になるのはすごいことですね。

 送ってから連載まで多分1年くらいだったと思いますが、それがすごいことなのかはあまりピンときていなかったですね。

 

ネームがうまい『ハコヅメ』 新しい道を作った『コウノドリ』

――続いてお互いの代表作についてどう思っておられるかお聞きしたいのですが、鈴ノ木さんは泰さんの『ハコヅメ』についてどんな印象を持っておられますか?

鈴ノ木 僕はそれほど漫画に詳しくないですけど、漫画家目線としてはネームがうまいなというのが第一印象です。ネームってセリフのことなんですけど、セリフが多いなかで「読ませる」力があるなと思いました。

――それまでの漫画とちょっとちがうかなと。

鈴ノ木 そうですね。コマの置き方だったり、読ませる目線の流れが上手だなと。あとキャラクターにリアリティがあるなという印象ですね。ですから連載が始まったとき、人気が出るだろうなって思いました。

――では、想像以上に人気が出たって感じですね。

鈴ノ木 そうですね。チクショーって感じですね(笑)。

――泰さんの『コウノドリ』の印象はどうですか?

2022.09.10(土)
文=岡部敬史