――旅行に行かれたりとか?

鈴ノ木 家族旅行もほとんど行ったことがなくって。息子が小学校のとき、作文で「僕の友達は夏休みに旅行に行くけど、僕は行ったことがない」と書いていて、「これはまずい」と思って、なんとかホテルに1泊したというくらい時間がなかった。だから、なんでもない時間が楽しかったですね。

――泰さんは今年の6月で『ハコヅメ』の連載が一旦お休みになりました。

鈴ノ木 お疲れ様でした!

 ありがとうございます。その経緯ですが、終えるとか休止とかいうより前に、歴史物のネームがあって「これを描くならいつだろう?」という話になりました。『ハコヅメ』は体質的にずっと描けてしまうので、こちらを一旦お休みして、歴史物を始めることになったんです。

――歴史物のネームを描き始めたのはいつくらい前なんですか?

 2、3年前です。連載中にちょっと余裕があるとき、暇つぶしに描いていたものですね。

――この歴史物の漫画はいつから始まるんですか?

 もうちょっと調べ物をやりたくなったので、少し先延ばしになりまして、まだ時期はわからないんですが。

 

“泰三子”なのに「ずっと勉強している感じ」

――6月に週刊の連載が終わって、仕事のサイクルは変わりましたか。

 そうですね。ずっと勉強している感じです。

――勉強?

 歴史の勉強をずっとしています。

――忙しさは、あまり変わらないですか?

 やっている内容が変わっただけで、机に向かっている時間は同じですかね。

――鈴ノ木さんみたいに、ポカッと空いた感じではないですか?

 まあ、そうですね。ないですね。

鈴ノ木 連載の合間に別のネームを描くっていうのが普通じゃないですからね(笑)。変態か!って思いましたよ(笑)。

 いやいや、『コウノドリ』と『ハコヅメ』って作業量が全然ちがうんですよ。『コウノドリ』って絵をたくさん描かなきゃいけないし、話の構成もすごく凝っているじゃないですか。『ハコヅメ』は思いついたまま人物の簡単な絵を描けば、背景はちゃんとした人が描いてくれて原稿になるという仕組みなので、鈴ノ木先生ほどの仕事量じゃないんです。

2022.09.10(土)
文=岡部敬史