また、筋肉の主なエネルギー源は糖質と脂質ですが、強度の高いトレーニングをするときには糖質が使われます。糖質不足は、トレーニングの質の低下やスタミナ切れに繋がってしまいます。
脂質が重要なのも同様です。脂質はエネルギー源として使われるだけでなく、細胞膜やホルモンの材料になるものです。脂質を構成する脂肪酸には、体内で合成することができない必須脂肪酸と呼ばれるものがあります。必須脂肪酸は食事から摂取しなければならないものなので、脂質を極端にカットした食生活をしていると、足りなくなってしまうのです。
厚生労働省による2020年版「日本人の食事摂取基準」には、3大栄養素である糖質、脂質、タンパク質の推奨バランスは、糖質50~65%、脂質20~30%、タンパク質13~20%とあります。糖質、脂質を必要以上に敬遠しないようにしてください。
6大栄養素を過不足なく摂取する方法
副腎でのホルモン作り、体外から侵入してくるウイルスや細菌と戦うための免疫維持、紫外線を原因とする白内障の予防、鉄の吸収のサポートとたくさんの役割を果たすビタミンC。健康維持に欠かせない栄養素で、不足しないようにビタミンCを含む野菜や果物をしっかりと摂取してほしいのですが、過剰摂取すれば体にトラブルを引き起こします。ビタミンCは水溶性なので尿として排出され、体内に蓄積されないので、たくさん摂取しても問題ないとされてきました。
しかし、あまりにも過剰に摂ると体内から排出されるのに時間がかかり、その結果、筋肉の発達の阻害、吐き気、下痢などの原因になるという研究報告が出てきました。"体に良い"とされているものでも、過剰摂取は避けるべきということです。
何かを過度に制限したり、過剰に摂取したりするのではなく、必要な栄養素を過不足なく摂ることの大切さがイメージできたでしょうか。
主な栄養素には糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の6つがあり、これらは6大栄養素とされています(糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼びます)。体の成長、健康維持のためには、この6大栄養素を過不足なく摂取する必要があるのですが、どうしたら上手くいくでしょうか。
2022.06.15(水)
文=中野ジェームズ修一