生活習慣病を予防する食生活の指針として、厚生労働省と農林水産省が共同で作成した「食事バランスガイド」があります。

 これは、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物という5つのカテゴリーに分けて、それぞれの摂取量の目安を示したもの。よくできた内容で、この通りできたらバランスのよい食生活になるとは思うのですが、少々複雑で難しい部分があります。

 私もクライアントの栄養指導で活用したことがあるのですが、残念なことに「食事バランスガイド」通りの食生活を続けられたケースは、1度もありませんでした。食事は毎日のことですから、複雑なもの、面倒そうに感じられるものは、継続が困難になってしまうのです。

 このような経験を経て、私が管理栄養士さんとともに考え、クライアントの食事指導に用いているのが、14品目を1日1回ずつ食べるという1日14品目食事法です。カロリー計算などは必要ありません。その14品目は次の通りです。

 

1日14品目食事法の内容とは

〈 1 穀類(白米、玄米、もち、パン、パスタ、うどん、そば、中華麺、シリアルなど)

 2 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など ※ソーセージやハムなどの加工品を含む)

 3 魚介類(魚、イカ、タコ、エビ、貝類など)

 4 豆・豆製品(大豆、豆腐、納豆、豆乳、インゲン豆、ひよこ豆など)

 5 卵(生卵、ゆで卵、卵焼き、目玉焼き、ピータンなど)

 6 牛乳・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)

 7 緑黄色野菜(トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、ニンジン、パプリカなど)

 8 淡色野菜(大根、キャベツ、レタス、タマネギ、白菜、カブ、ナスなど)

 9 キノコ類(シイタケ、シメジ、マイタケ、エノキ、エリンギ、ナメコなど)

 10 イモ類(ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、コンニャク、ヤマイモなど)

 11 海藻類(ワカメ、ヒジキ、海苔、モズク、昆布、寒天など)

 12 果物類(リンゴ、ミカン、オレンジ、キウイ、バナナ、ブドウ、ナシなど)

 13 油脂類(オリーブオイル、バター、マヨネーズ、ラード、揚げ物など)

 14 嗜好品(チョコレート、ケーキ、ポテトチップスなど)〉

 ここに挙げた14品目を1日1回ずつ食べるのですが、穀類は活動するための基本的なエネルギー源となる糖質を摂取できるため、例外的に毎食食べても構いません。この食事法を実践すると、栄養バランスが整うとともに、食べ過ぎを防ぐこともできます。

 肉類は体作りに欠かせず、筋肉の材料にもなるタンパク質を豊富に含んでいます。牛肉なら鉄と亜鉛、豚肉ならビタミンB群、鶏肉ならビタミンAとビタミンEを併せて摂取することができます。

 魚介類もタンパク質が豊富です。鮭にはビタミンD、カツオにはビタミンB群、カキには亜鉛、シジミには鉄といったように、ビタミンやミネラルが含まれています。同じタンパク源でも、肉と魚の両方を食べること、種類を一定のものにしないことで、自然とさまざまな栄養素を摂ることができます。また、イワシやサバ、アジなどの青魚にはEPA、DHAといった必須脂肪酸が含まれています。生の魚だけでなく、干物や缶詰でも構いません。

2022.06.15(水)
文=中野ジェームズ修一