藤岡 もっと思い切ってやれば良かったなと思うのは、番組で頭からストッキングを被ったときですね。ストッキングを被って、後ろから引っ張られながら前に置いてある物を取りに行くんですけど、それで顔がピターってなるのが恥ずかしくて、自分を捨てきれなくて。それはダメだったなぁと。

――他のメンバーは全力でやっていたんでしょうか?

藤岡 すごいプロだなって思ったのは、一番最初にソロデビューが決まった下川みくにちゃんです。顔がカメラにはっきり映るような位置でやって、さすがだなって思っていました。そういう強さもあって、今も芸能界で活躍できているのかなと思います。

 

下校中にプロポーズしてくる熱狂的なファンも

――チェキッ娘が活動していたのは1998~99年ですが、当時はかなり熱狂的なファンもいたとか。

藤岡 私は高校の先生がすごく理解のある方で、毎日6時間目の授業を10分だけ出席して、早退させてもらって、仕事に向かっていたんですね。それで、1人で学校を出て、駅について電車に乗るんですけど、そこでひざまずいてプロポーズしてくる方がいました。たぶん、どこかからつけて来ていたんだと思うんですけど。

 友達と下校したときも、私が楽しそうに大きな声で笑っていたら、またもやその方が電車の中でひざまずいて、プロポーズしてから「麻美ちゃんって、本当は明るいんだね」と。もっとおとなしい人だと思われていたみたいで。

――ちょっとびっくりするようなお話ですね……。

藤岡 その方は卒業式の日も来ていました。式が終わって体育館を出たらピョンって現れて、バラの花束を100本くらい持ってひざまずいていて、「麻美ちゃん、おめでとう!」と。他にも学校の正門辺りで私が出て来るのを待っていたファンの方々がいたようで、その日はマネージャーさんが心配して、私を車で家まで送ってくれました。

 卒業式の日はさらに続きがあって、帰宅後、母が「麻美ちゃーん」と呼ぶので、いつものように「はーい」と答えると、玄関の方から「〇〇さんがいらっしゃったよー!」と。その方は有名なチェキ男(※チェキッ娘の男性ファン)だったので、母も家の中に通しちゃって(笑)。

2022.06.01(水)
文=松永 怜
撮影=釜谷洋史/文藝春秋