●「瀬戸内国際芸術祭2022」
島旅×アートといえば、「瀬戸内国際芸術祭2022」。3年に一度、瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に春・夏・秋の3つの会期で行われ、それぞれの島の文化や歴史、風情などに浸りながら、国内外の現代アートに親しめる芸術祭です。
「瀬戸内国際芸術祭2022」の春会期はすでに終了し、夏会期は8月5日から。現在はその合間の期間となりますが、会期外でも楽しめるアートはたくさん。なかでもオリーブの産地として知られる小豆島は、年間を通して鑑賞できる常設作品が充実。2022年に登場した新作も多いので、混み合う会期中をあえて外して、アートと島旅をゆったり楽しむのもおすすめです。
小豆島の玄関口・土庄港から歩いて20分ほどの土庄本町の中心部。この辺りは昔ながらの細く入り組んだ路地が迷路のように張りめぐらされ、「迷路のまち」と呼ばれています。
迷路のまち周辺に登場した新作のひとつが、カンボジアのソピアップ・ピッチ「La dance」。リサイクル店で集めたアルミ製品で樹木をかたどり、幹や枝の形、木肌までもリアルに再現。アルミの木々が今にもダンスしそうな躍動感を醸し出しています。
路地のあちこちに点在する土井健史「立入禁止」も個性的。一見なにげないけれど、自然と目に留まる不思議な存在感があって、見つけるたびに楽しい気分に。探検気分で路地を歩きながら、アート鑑賞できます。
三都半島は山と海の豊かな自然を感じつつのアートめぐりが楽しいエリア。スケール感のある作品が多く、尾身大輔「ヒトクサヤドカリ」は、貝殻に見立てた古民家から木彫りの大きなヤドカリが頭を出していて、巨大さとユニークさにワクワクさせられます。
撤去された石垣や、廃船、流木を組み合わせた伊東敏光+広島市立大学学術学部有志による「ダイダラウルトラボウ」は、さらに巨大。人間が小さな存在に思えるほどです。とはいえ、ひと休みしてくつろいでいるような巨人の風貌に、見ているこちらも和まされます。
島の景勝地・寒霞渓には、青木野枝「空の玊/寒霞渓」が登場しました。直径約4メートルの鉄の球体は見晴台になっていて、大渓谷と瀬戸内海を一望。天空を浮遊しているような感覚が楽しく、アートと絶景の融合を体感できます。
小豆島でのアートめぐりには車が便利(迷路のまちは徒歩で)。老舗の醤油蔵が立ち並ぶ醤の郷エリアの現代美術館や屋内インスタレーション、草壁港や坂手港の屋外作品なども訪ねて、島内をぐるりと一周ドライブするのも楽しいです。
瀬戸内国際芸術祭2022
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春のみ)、本島(秋のみ)、高見島(秋のみ)、粟島(秋のみ)、伊吹島(秋のみ)、高松港周辺、宇野港周辺、広域・回遊
会期:春会期終了/夏 8月5日(金)~9月4日(日)/秋 9月29日(木)~11月6日(日)
観覧料:3シーズンパスポート大人 5,000円、会期限定パスポート大人 4,200円、デイチケット大人 1,800円(一部作品、施設は別途料金)※屋外展示の常設作品は基本的に無料で鑑賞可能。美術館、屋内インスタレーションなど有料の施設もあり
https://setouchi-artfest.jp/
2022.05.28(土)
文=中村美枝(JAM SESSION)