蘭々 お金が掛かって大変だし、どうしようかなと思っていました。そんな時たまたま本屋で手に取った『De☆View』というオーディション情報誌に「原宿でスカウトされたラッキーガールの白石さん」という方のグラビアが載っていて。もしかして原宿に行きさえすれば私もスカウトされるかもしれないという、安易で身の程知らずな夢を抱いたんです。

――それを実践されたと。

蘭々 そうです。いまでこそ制服で原宿を歩くなんて当たり前だけど、その頃は補導の対象だったんですね。それでも制服を着ていると目立つので、春休みなのにわざわざ制服を着て、原宿の街をクレープを食べながらフラフラしていたら声がかかりました。 

 初日に行って集まった名刺が数枚。通えばもっと集められるかもしれないと思って、春休みの間通いました(笑)。結果、20枚くらいは集まったのかな……その中には今も残っている大手の事務所もありましたね。 

 当時の私はとてもませていたので、ある程度名刺が集まった後、変なところに引っかからないように一件一件、名刺に書いてある連絡先に電話をして。電話に出た人の対応や、契約的な内容を偵察するようなこともしていました。 

――アイドルを目指していただけに、前々から事務所の情報を把握していたりは。

蘭々 そういう知識はまるでなかったんですけど、動物的勘のようなものでいろんなことをジャッジしていたように思います(笑)。で、最後までプッシュしてきてくれた会社が2つあったんですね。大手と小さいモデル事務所。 

 モデル事務所の方は秋田書店さんと組んで、「ミスマガジン」ならぬ「ミスチャンピオン」という企画で、読者からの投票を勝ち取って最終的にグランプリになった子が巻頭グラビアを飾れるというお話でした。

 ああいうのって、通常は応募してきた女の子達だけで行われるんですけど、そのときはコンテストのレベルアップを図るために、スカウト組も作ったと言っていました。 

2022.05.18(水)
文=平田裕介