彼方 でも、東京と大阪でお笑いに対する温度感って違うじゃないですか。特に当時だと、東京はM-1決勝の翌日でもゴールデンシネマの話をしてる感じの文化。だから会社にもなかなか言わなかったんです。そしたら記者会見の直前に、「Yahoo!ニュースに出ちゃうから電話しておいで」って諭されました(笑)。
「Yahoo!見たら、小田さんおった!」
――会社の方はどんな反応でしたか。
彼方 「君は何をしてるの? それは何? 漫才の大会?」って。今ほどM-1の知名度も高くなかったから、ちんぷんかんぷんな感じでした。その日は有給取ってたんで、結局「明日聞くからもう今日は休みなさい」って言われました。
――翌日の反応はどうでしたか。
彼方 会社に行ったら、みんなもう知ってはいて、ちらちらこっちの様子窺ってる感じでしたね。「どこの部署の子?」って人に聞いてるのが聞こえたり。
小田 私は大阪なんで、結構ガツガツ来る人もいました。「Yahoo!見たら小田さんおったからみんなにも知らせといたわ!」とか。
――初めてのアマチュアの決勝進出ということで、面白く思わないプロの方もいたのでしょうか。
小田 いはったんちゃうかなと私もそう思うんですけど、全然それは感じられなかったです。決勝に行った方は皆さんすごい優しくて。
彼方 常に劇場に行ってるわけでもないし、フリーの方みたいに活動してるわけではないからわからないんですよね。もしかしたらプロの方も、たまたま来た子やから別にええわって感じで、気にもされてなかったのかもしれないし。
チュートリアル、笑い飯に挟まれた「ド緊張の決勝」
――決勝当日までの間はどんな感じでしたか。
小田 身体がふわふわしてました。
彼方 ずっとね、地面から5mm浮いてるんです(笑)。地に足が着いてないんですよ。
小田 今みたいに決勝までに告知したり番組に出させてもらったりとかもなかったんですけど、それでもどうしようという気持ちはずっとあって、普段絶対に残したりしないのに、お昼ご飯残しちゃったり。
2022.01.10(月)
文=「文春オンライン」特集班