11月11日は「豚饅の日」。「11」がブタの鼻の形に見えるからだそうで、その日を中心に、神戸の中華街・南京町では「KOBE豚饅サミット」というイベントが行われます。2021年もコロナ禍の中、何とか開催されて盛況でした。
そう、神戸っ子は豚饅がとても好き。街のあちこちで豚饅屋さんを見かけます。
神戸市灘区。阪急電鉄神戸線・王子公園駅から東に続く水道筋商店街は、庶民の日々のお買い物ゾーン。駅からそのアーケードに入る手前すぐにも、小さな豚饅屋さんがあります。
目印は、オレンジ色の幟。ユーモラスなイラストの「ちびトンまん」が揺れています。
6坪のお店「福々」で売られているのは「でかトンまん」と「ちびトンまん」、そして「ホタテまん」。
「でかトンまん」は「ちびトンまん」の2倍の大きさ。子どものおやつには「ちびトンまん」がぴったりのサイズです。
具に使われているのは、神戸ポークの粗挽きと国産のタマネギ。ジューシーで甘みたっぷりですが、後口はすっきり。厳選した醤油と塩、オイスターソースなどで味付けした、飽きのこない味です。
そして、「ホタテまん」は、ホワイトソースをたっぷり使った、なめらかで優しい、クセになる味わい。
なぜ、ホタテまんがあるのかというと、店主・福島裕子さんの実家が、北海道でホタテの養殖業を営んでいるから。
「殻付きで送られてくるので、家族みんなで開けて貝柱やヒモを取り出すんですよ」と、福島さんはにっこり。鮮度と品質の良さは折り紙付き。
「ホタテまんは、北海道産のバター、小麦粉、牛乳、生クリームに、白ワインを使ったホワイトソース仕立て。神戸らしく洋風の味にしたかったんです」。味付けは塩のみ。ホタテの季節、12月から3月末までの限定品です。
生地には北海道産小麦粉を使用。「北海道出身だから地元の食材の良さ、おいしさを知ってほしくて」。ほんのり甘く、もっちり食感にするのに、薄力粉と強力粉の割合など、試作を繰り返したと言います。
生地は、毎朝、アルミニウムフリーのベーキングパウダーとイーストで発酵させ、もっちりした食感に仕上げます。鹿児島県産粗糖を使い、ほんのり甘いのも特徴。
2020年1月22日にお店をオープンしてから、アメリケーヌソースを使った「シュリンプまん」、赤ワインの風味豊かな「ビーフシチューまん」など、他にない饅頭(マントウ)も創作してきた福島さん。マクロビを勉強し、料理教室を主宰してきただけあって、発想がとても豊かです。
2022.01.16(日)
文・撮影=そおだよおこ