スーパーカーで爆走? 異色のタフガイ・サンタが暴れまわる聖夜の珍騒動
◆『クリスマス・クロニクル』(2018年)
サンタクロースといえば、ふくよかな体型に優しい目つきを思い出す人も多いはず。しかし、本作でサンタ役を演じるのは、連続殺人犯役や、宇宙から飛来した寄生生物と南極で死闘を演じてきた俳優、カート・ラッセルです。
彼が演じるサンタはがっしり体型のタフガイで、スーパーカーを乗り回し、警察のお世話になるなど大暴れ。アンビバレントな魅力に満ちたサンタが映るだけで、物語にグッと引き込まれてしまうはず。
今作で注目なのは“子供だったらツッコむ部分にしっかりと答える目線”。具体的に言うと「サンタが一晩で全世界にプレゼント届けるの、無理じゃない?」という素直すぎる疑問に、「サンタのソリはワープ機能ついているから大丈夫」などとキチンと回答しているのです。
そんな“納得を追求する姿勢”があるからこそ、観客をより物語の世界に入り込ませ、作品が持つ“何かを信じ続けることで人は前に進める”というメッセージがより深く心に届かせるのではないでしょうか。
◎あらすじ
11歳を目前に控える少女ケイティとその兄テディが、クリスマス・イブの夜に本物のサンタクロースのソリに乗り込んだことが原因で、ソリは墜落。大切なプレゼントも落とし、空飛ぶトナカイたちも逃げ出してしまう。このままではクリスマスが台無しに。兄妹は途方にくれるサンタに罪滅ぼしをさせてほしいと申し出るのだが……。
クリスマスに大笑い エルフの国で育った純粋無垢なおじさんの爆笑コメディ
◆『エルフ サンタの国からやってきた』(2003年)
エルフの国で育ったおじさんによる爆笑コメディ映画『エルフ サンタの国からやってきた』。主演のエルフ・バディ役はコメディ俳優ウィル・フェレル。本作で彼が見せるすっとぼけた表情と間の取り方には、きっとあなたも声を出して笑ってしまうはずです。
幼少期よりエルフの国で育った純真無垢のおじさんエルフ・バディ。彼は本当の父を探してニューヨークを訪れるも、浮きまくり。ショーウィンドウの中で寝ていた彼が、父親のウォルターとガラス越しに対面するシーンは必見。
「パパ! 僕だよ!」とガラスを叩きまくるバディは端から見るとヤバイ人そのもの。通行人の目が気になるウォルターはつい見て見ぬ振りをするのですが、このシーンには腹がよじれることでしょう。
クリスマスショップで出会った女性ジョビやウォルターの現在の家族たちは、バディが交流を深めていく主要キャラクターですが、素っ頓狂なバディを無碍に扱わず歩み寄る姿勢であることが心に残ります。そして当のバディも人間界に慣れようとする後半は、社会に馴染めない子供と家族のドラマとしてもウルっときます。
当初は気まずくなるほど強烈なバディの心と見た目のズレですが、徐々に本当の子供のように見えてくるのです。この作品が上手いのは、観客と登場人物の心情変化がリンクしているところでしょう。クリスマスを信じるバディとの交流によって街に奇跡が起きるクライマックスは、笑いつつも涙してしまうかもしれません。
◎あらすじ
サンタが偶然連れ帰ってしまった人間の赤ちゃん。彼はバディと名付けられ、エルフたちに育てられる。すっかりおじさんになった彼は、育ての親のエルフからニューヨークに実の父親が住んでいることを告げられるのだった。
2021.12.21(火)
文=TND幽介〈A4studio〉