「何よりも自分が楽しむことを第一に、ちょっと冒険もしていけたら」

――今後、挑戦してみたいことはどんなことですか?

 いつか、ストレートプレイに挑戦してみたいという気持ちはありますね。

 あと、舞台とはかけ離れちゃいますけど、乗馬をやってみたい。在団中は、落馬すると大きな怪我に繋がってしまうということで、禁止されているんですよ。TV番組のロケ企画でも、希望を出したことがあるんですけれど、ほぼ通らなくて。

 もうひとつ、小さい頃からやっていたスキーをもう1回始めたいなと思っています。スキーもまた危険が伴うということで、宝塚を受験すると決めてから止めたんです。それまでは、毎年家族でスキーに行っていました。昔みたいには体が動かないかもしれないですけど、もう一度ゲレンデを滑ってみたいなという気持ちがあります。

――これまでは、男役・珠城りょうとして生きてきたと思うのですが、退団されて、ひとりの女性として、今後こんなふうになっていきたいという理想像はありますか。

 私は在団中から、心の居所として、“本名としての自分”も絶対になくさないようにしたいと思っていました。ただやっぱりトップになってからは、どうしても“男役・珠城りょう”として生きる時間が増えてしまっていたんです。

 でも宝塚を卒業して、“男役”という肩書きが取れたので、珠城りょうと本名の自分を少しずつすり合わせていきたいな、と思っています。とはいえ、比較的いつも自然体でいる人間なので、あんまり変わりはないんですけれど。

 これからは女性として……って、ずっと女性ですけれど(笑)。目標としては、頑張るけれど頑張りすぎず、ということでしょうか。

 もともと私は石橋を叩いて叩いて(笑)、渡る派なんですね。でも、いろんな責任とか、そういうことを気にするばかりじゃなく、たまには思い切って飛び越えて思いつきで行動してみたり、新しいことをやってみたり、ちょっと冒険してみたり。何よりも自分が楽しむということを第一に、挑戦したり、人と出会ったりしたいと思っています。

2021.11.03(水)
文=望月リサ
撮影=鈴木七絵
動画=松本輝一
ヘアメイク=赤松絵利(ESPER)
スタイリスト=重光愛子(A.K.A.)