支笏湖の滞在の拠点となるのは温泉街

 支笏湖で確認された魚種は14種前後。そのうち、在来種はアメマスとハナカジカのみ。支笏湖の名物になっているチップ(ヒメマス)は阿寒湖からやってきました。

 1894年に阿寒湖から移入され、同時に孵化場が建てられ、その翌年に初放流。それから2年後、生まれ故郷の支笏湖にチップたちは戻り、初の回帰に成功。

 「水清ければ魚棲まず」といいますが、チップにとって清き水と、低い水温の支笏湖は、棲むにはぴったりの環境だったのですね。

 湖畔のレストランや宿泊先でチップ料理に出会うのも、支笏湖の楽しみです。

 支笏湖の滞在の拠点となるのは、温泉街。“温泉街”といっても、あちこちで湯煙が立ち昇る中を浴衣姿でカラコロ歩く、といった風情とは異なります。やはり国立公園ゆえ、豊かな自然が主役になっています。

 今回は、道内で13軒の温泉旅館などを展開している鶴雅グループのリゾート2軒をチョイス。北海道ならではの大きな自然とアイヌの歴史や文化など、北の大地の魅力を詰め込んだリゾートブランドです。

 憧れは、このリゾートグループが誇る“座”シリーズでも最高峰の「しこつ湖 鶴雅別荘 碧の座」(以下、碧の座)。

 湖からやや離れつつも高台にあり、スイートタイプの全25の客室はすべてレイクビュー。広々としたテラスにはプライベートスパ(露天温泉)のほか、デイベッド、ハンギングチェアなどが置かれ、くつろぎの時間を過ごすことができます。

2021.10.09(土)
文・撮影=古関千恵子