繰り返される緊急事態宣言や時短要請によって職を失ってしまった人や収入が途絶えてしまった人、多額の借金を抱えてしまった人が急増しています。失業率と自殺者数には強い相関のあることが知られており、10年連続で減少していた自殺者数は昨年、増加に転じました。このまま過度な自粛がくり返されると、2万人台まで減った自殺者数が再び3万人を超え、4万人を超える可能性もあると指摘もされています(リクルートワークス研究所「自殺の影響は広範囲にわたる―新型コロナウイルスによる失業が健康や自殺に与える影響」)。

(5)リモートワークによって、家族が家にいる時間が増えた

 政府や自治体が推奨するリモートワークによって、業種によっては在宅勤務が当たり前になりつつあります。家族とコミュニケーションを取る時間が増えるというプラス面もありますが、一方で、ずっと一緒にいることでストレスが高じ、夫婦間でのDV(家庭内暴力)や子どもへの虐待の相談が増えていると報じられています(NHK「高まるDVリスク どう対処」)。当然、こうした暴力・暴言を受けた人たちのメンタルへの悪影響も無視できません。

(6)家飲みする機会が増えた

 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が取られている地域では、飲食店のアルコール提供の自粛が要請されています。そのため、ますます家飲みする人が増えました。しかし、家で飲むと終電を気にする必要がないので、飲む量が増えてしまったり、眠るまで飲む人が増える危険性があると言われています。アルコール依存症は肝臓や食道など内臓にダメージを与えるだけでなく、うつ病や自殺のリスクを上げることも知られています(e-ヘルスネット「アルコールとうつ、自殺」)。

 

“自粛の副作用”を和らげるために

 このように、政府や自治体が求める自粛要請には、メンタル面に悪影響を及ぼす負の側面も大きいのです。ですから、コロナ禍においてメンタル面の健康を保つためにも、下記のことを心がける必要があるでしょう。

2021.06.18(金)
文=鳥集 徹