●肝に良い食事と漢方は?
続いては、「肝を養生するのにオススメ」な食材について伺いました。
「肝に良い食材は、酸味のものや、青物野菜です。牡蠣などの貝類や、血を増やす鶏肉もオススメです。また、中国には『同物同治(どうぶつどうち)』といって、肝が弱った時には動物の肝臓を食べて補うという考え方もあります。レバーが苦手という方は、小魚などを摂るのもいいでしょう。これからの季節は、かんきつ類などを取り入れるのも良いですね」
とはいえ、「肝がとても弱っている時や負担がかかっている時に食事だけでカバーするのは難しいかもしれません」と先生。
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そこで、出番となるのが漢方薬。
肝を養生するのにオススメのものを教えていただきました。
「体の土台作りにお勧めしたいのが、『イスクラ婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)B』です。血に栄養を与えるセリ科の植物『当帰(トウキ)』の根は、女性に欠かせない生薬として昔から重宝されています。そのトウキが70%、他にロバの皮から抽出した阿膠(アキョウ)などが含まれています。コラーゲンたっぷりの阿膠は、楊貴妃が美容のために愛用していたことでも有名です」
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「気の巡りを良くしてくれる『逍遙顆粒(しょうようかりゅう)』もお勧めです。主にストレスなどで肝に負担がかかると、気(エネルギー)の巡りが悪くなり、自律神経系の乱れにつながります。すると、イライラしたり、気分が落ち込んだり、便秘や下痢を繰り返したり、PMSや肩こりになったりします。逍遙顆粒には、芍薬、当帰、甘草など8種類の生薬が配合されており、心身をリラックスさせ、伸びやかにさせてくれます」
「病院の処方箋やドラッグストアなどでも買える漢方に『加味逍遙散(かみしょうようさん)』というものがありますが、そちらは気の流れを良くすると共に、更年期障害でよく見られるホットフラッシュやのぼせなどの症状を解消するために、冷やすための生薬が含まれています。ですから、『冷えが気になっている』という方には、『逍遙顆粒』の方が合っているでしょう」
こちらも試飲したところ、いかにも漢方っぽい味わいながら、素朴な甘みもあって飲みやすかったです。
また、肝と深いつながりのある目をいたわりたい時に取り入れたいのが、「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。
「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)は、肝に栄養を与えて目の乾きや疲れ目、かすみ目などを改善してくれるクコの実や、目の使いすぎで充血しやすいなどの症状に良い菊の花などが配合された、中国で古くから目の様々なトラブルに使われてきた漢方薬です」
この漢方薬がとても面白くて、「顆粒状」タイプ「丸剤」タイプのほかに、「ロウヒ丸」というトリュフチョコみたいな見た目のものがあるのですね。猪越先生は執筆などで目を酷使する時は、このロウヒ丸をかじりながら、作業を進めているのだとか。
「ロウヒ丸は即効性があり、食べるとその場で視界がクリアになるんです」と先生。
これまた味見させていただいたところ、いかにも漢方といった苦さながら、蜂蜜が練りこまれているおかげか、そこそこの甘みもあって、ヌガーというかトリュフチョコを健康的にいただいているような感がありました。目の疲れを感じやすい人は、常備するといいかもしれません。
「漢方を取り入れる場合、初めは2週間くらいで様子を見てもらうのが理想です。その後は、その時の体調や季節によって、できれば1カ月おきくらいに調整してもらいながら、3、4カ月はしっかり飲み続けて下さい。
血液に含まれる赤血球は、約120日間ですべて生まれ変わると言われています。
血液の状態が良くなると、肌にツヤが出てきて、お顔も生き生きとした状態になります。120日、つまり3~4カ月間飲み続けてみると、自分で実感できるくらい体調や見た目も違ってくると思います。そのあとは、ご自分のペースに合わせて、飲む量や回数を調節していっても大丈夫になりますよ」
なるほど。3~4カ月後のツヤ肌をイメージして、まずはできるところから始めてみたいと思いました。
猪越先生、なにからなにまでありがとうございました。
吉祥寺東西薬局
猪越英明(いこし・ひであき)先生
医学博士、薬剤師、鍼灸師、国際中医師(国際中医専門員)、東京薬科大学薬学部中国医学研究室准教授、日本中医薬学会理事、多摩中医薬研究会会長、朝日カルチャー新宿教室講師。
著書に『「いつもなんか不調」がすっと消える手当て』(サンマーク出版)、共著に『顔をみて病気をチェックする本』(PHP研究所)など。
Column
にらさわあきこの日々是実践美容道
新人美容研究家のにらさわあきこが取り組む美容道。アラフォー超えて、本格的に真剣に取り組むことになった「美容体験」や「美容習慣」の考察記。
2021.06.13(日)
文=にらさわあきこ
写真=末永裕樹
資料提供=東西薬局