こんにちは、新人美容研究家のにらさわあきこです。

 前回に続き、中国の伝統医学・中医学の観点から、「肝」について見ていきます。

 肝は、美容面では乾燥やツヤに影響しているとか。そして私自身が今、肝が弱っていると考えられる状態であると判明。

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 では、ケアをしたい時には、何をどうすればいいのでしょうか。

 オススメの暮らし方や食材、漢方について教わりました。

» 第1回 肝臓は美を司る栄養のキーマン
» 第2回 肝臓によい食事とサプリ
» 第3回 中医学における肝とは?
» 第4回 肝を守る生活と漢方薬

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●肝の状態をチェックする

 今回も、人気漢方薬局「東西薬局」代表で医学博士・薬剤師・国際中医専門員の猪越英明(いこし・ひであき)先生に教えていただきます。

 まずは、前回のおさらいから。

〇 中医学における「五臓」とは、「私たちの生理や、生きていく上で必要なことを支える5つの仕組み、システム」のようなもので、「肝」は現代解剖学でいうところの肝臓そのものではない。

〇 「肝」は、血液の流れや自律神経、目や筋(スジ)をコントロールしている。

〇 五臓には影響し合う関係性があり、「肝」が弱ったり、肝に負担がかかったりすると、肝そのものにトラブルが起こるだけでなく、「脾」(胃腸)にトラブルが起こる場合がある。

〇 中医学では、トラブルの「大本」を探り、ケアをする。

 猪越先生には、「肝が弱っているかどうかをチェックする表」を作っていただきました。

 「10項目のうち、3項目以上にチェックがついた人は、肝が弱い体質であるか、肝が弱っていたり、負担がかかって(緊張して)いる可能性があります。「肝」をいたわる暮らし方を意識していきましょう」(猪越先生、以下・同)。

●肝をいたわる暮らし方とは?

 では、肝をいたわる暮らし方とはどんなものなのでしょうか。教えていただきましょう。

「肝をいたわる秘訣の第一は、睡眠をしっかりとることです。自律神経は夜の睡眠で整いますので、遅くとも夜の11時までには寝るようにしましょう。

 また、肝は目と深く関係しているので、寝る前にスマホやパソコンを見るのはNG。夕食後は、スマホやパソコンを見ない習慣をつけましょう。

 さらに、ぐっすり眠るためには、寝るまでに消化を終えておくこと。夕食は8時までに済ませるようにしましょう。もしも、通勤などで難しい場合には、先におにぎりなどを食べておいて、帰宅後に野菜スープなどの胃に優しいものでバランスを取るというような工夫をするといいでしょう」

 ちなみに運動はというと、一度にたくさん汗をかきすぎるものは、そもそも体には良くないとか。

「ストレスを溜め込んで肝に負担がかかっていると、汗をかいて発散させたくなります。例えばホットヨガやサウナなどで汗をかくと爽快に感じられますが、汗のかきすぎは中医学で『津液(しんえき)』と呼ぶ体に必要な水分を消耗するので、お勧めしてはいません。

 肝の弱い人だけでなく、どなたにも言えることですが、あまり一度に汗をかきすぎない適度な運動を心がけるようにしましょう」

 なるほど。逆に言うと、発散系の運動がしたい時には、「肝が弱っている」、または「肝に負担がかかっているのかも?」と気にしてみるといいのかもしれません。

2021.06.13(日)
文=にらさわあきこ
写真=末永裕樹
資料提供=東西薬局