「忘れると教えられない!」という緊張感

 教えるためには、内容をしっかりと理解する必要がある。学ぶ側からの質問でも新たに学ばされることも少なくない。また、教える行為そのものに、頭の中を整理して、自らの理解を深める効果があると感じます。──と、完全に教える側の話をしてしまいましたが、ネトイスコらの実験が面白いのは、勉強するときに、後に誰かに教えることを前提に学ぶと「思っているだけ」という点です。

 それを意識すれば、より緊張感や集中力、注意深さを持って学んだり、深堀りしたりします。また、「忘れると教えられない!」という緊張感が、短期記憶にも強く作用し、さらに長期記憶にしっかりと移行させる必要性を脳に実感させるのでしょう。

 みなさんもぜひ、後で誰かに教えるつもりで学んでみてください。

 ただし、思っているだけだと脳が慣れて「うそだな」と思ってしまうかもしれないので、家族、友人、恋人など、実際に誰かに説明するような機会を強制的に設けるのがおすすめです。そうすれば、さらに高い効果が期待できるはずです!

まとめ

何かを覚えたり、理解したりするときは、そのことを後から誰かに教えるつもりで取りかかると学習効果が格段に上がる。

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堀田秀吾(ほった しゅうご)

明治大学法学部教授。
専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。アイドルのプロデュースから全国放送のワイドショーのレギュラー・コメンテーターなど、研究以外においても多岐に渡る活動を見せている。