明治大学法学部教授・堀田秀吾先生は、記憶術や適切な学習スケジュール、モチベーションの高め方など、勉強に関する世界中の科学論文をリサーチ。

 著書「絶対忘れない勉強法」は、心理学、脳科学、教育学、言語学など、勉強に関わる幅広い分野を網羅した本です。

 実は、私たちの脳や認知システムの性質からみると、「勉強法」には効果がなかったり、むしろ、効率を下げてしまっているものもあるのです。

 「え? こんなのが効果あるの?」と思えるような、面白い方法もあるので、ぜひ、やってみてください。

 さあ、絶対に忘れない、正しい勉強法で、効率よく、最大限の効果を上げて、あなたの夢や目標をかなえてください。


●「飽きっぽい」人の集中力を高める「ノイズ」の効果

【やるべきこと】集中力に自信のない人は、静かな環境で勉強しない

完全な無音状態は逆に集中できない!?

 自室にこもって勉強していると、なかなか集中できなくて、すぐ飽きてしまうけれど、カフェや図書館だと集中できるという方はいらっしゃいませんか?

 出勤前や仕事帰りにカフェで勉強したり、休日に喫茶店にこもって勉強する、という方は多いかもしれませんね。受験生が図書館やカフェで参考書を広げて勉強している姿もよく見かけますよね。

 実は、その方法、集中力を維持するのに、正しいやり方なんです。

 図書館やカフェで勉強するのは、周りに人がいて、居眠りなどがしにくかったりしますが、人が話したり、動いたりする物音が恋しくて利用する方もいるようです。そう、秘密は「音」にあるのです。

 音と勉強効率の関係については、さまざまな研究があるのですが、ここではストックホルム大学のソダールンドらによる研究を紹介します。

【実験内容】

ノルウェーの7年生51名を、教師がリッカート尺度と呼ばれる基準によって注意力が散漫と評価したグループAと、それ以外の対照群の2グループに分けて、あらゆる周波数成分を同等に含む雑音であるホワイトノイズの有無による学習効果の違いを比較した。

 この実験で、なぜ注意力が散漫な生徒を抽出したのかというと、基本的には雑音は勉強の集中を妨げると思われがちですが、発達障害の一種・ADHDの子どもは一定の雑音のある環境のほうが集中できるという先行研究があったからです。ちなみに、グループAにADHDと診断されている人はいませんでした。

 その結果、全体的な成績の差は見られませんでしたが、2つのグループでホワイトノイズの有無とその際の成績を比較したところ、ホワイトノイズありの場合、グループAでは成績が上がり、対照群では反対に成績が下がっていました。

 これは先行研究などから、ある程度事前に予想できた結果通りの内容といえます。

2021.04.17(土)
文=堀田秀吾