明治大学法学部教授・堀田秀吾先生は、記憶術や適切な学習スケジュール、モチベーションの高め方など、勉強に関する世界中の科学論文をリサーチ。
著書「絶対忘れない勉強法」は、心理学、脳科学、教育学、言語学など、勉強に関わる幅広い分野を網羅した本です。
実は、私たちの脳や認知システムの性質からみると、「勉強法」には効果がなかったり、むしろ、効率を下げてしまっているものもあるのです。
「え? こんなのが効果あるの?」と思えるような、面白い方法もあるので、ぜひ、やってみてください。
さあ、絶対に忘れない、正しい勉強法で、効率よく、最大限の効果を上げて、あなたの夢や目標をかなえてください。
●「誰かに教えるつもり」で学ぶとインプット力とアウトプット力が抜群に上がる
【やるべきこと】「後で人に教えるつもりで学ぶ」
学ぶことと教えることは表裏一体
せっかく覚えても、覚えたことが頭の中で整理できていなくて、ごちゃごちゃのままでは、記憶に定着しません。
あなたには、自分が学んだことを誰かに教えようとして、うまく説明できなかったことはありませんか?「人に教える」という行為は、しっかりと内容を理解してインプットした情報を整理していないとできません。
実は、「後で人に教える」という意識を持って勉強すると、それだけで学習効果が上がります。
そんな研究を紹介しましょう。ワシントン大学セントルイス校のネストイコらによる実験です。
【実験内容】
56人の大学生を①「後で人に教えることを前提にしたグループ」、②「後でテストを受けることを前提にしたグループ」、③「何も前提としないグループ」に分け、ある戦争映画における描写と史実に関する1541語からなる文章を読ませ、関係のないことをしばらくしてもらった後に、学んだ内容についての自由記述および、内容に関する短答式のテストを実施した。
この結果、自由記述と短答式の双方で、①のグループの成績がよくなりました。
「教える」というのは、自分の持つ知識や技術を学ぶ側に一方的に伝える作業に見えるかもしれませんが、学ぶことと教えることは表裏一体です。私は学生時代の塾の講師のアルバイトも含めると30年以上も「教える」仕事に携わっていますが、教えることは学ぶことだと常に痛感しています。
2021.04.13(火)
文=堀田秀吾