明治大学法学部教授・堀田秀吾先生は、記憶術や適切な学習スケジュール、モチベーションの高め方など、勉強に関する世界中の科学論文をリサーチ。

 著書「絶対忘れない勉強法」は、心理学、脳科学、教育学、言語学など、勉強に関わる幅広い分野を網羅した本です。

 実は、私たちの脳や認知システムの性質からみると、「勉強法」には効果がなかったり、むしろ、効率を下げてしまっているものもあるのです。

 「え? こんなのが効果あるの?」と思えるような、面白い方法もあるので、ぜひ、やってみてください。

 さあ、絶対に忘れない、正しい勉強法で、効率よく、最大限の効果を上げて、あなたの夢や目標をかなえてください。


●「かわいい写真」で脳の「馴化」を防ぎ学習効果を高める

【やるべきこと】集中力が切れたらかわいい写真を見る

勉強に新鮮味がなくなると頭に入ってこなくなる

 勉強をずっと続けていると、飽きてきます。

 そのまま続けていても、頭に入ってこなくなります。

 それは、集中力が切れている証拠です。簡単な解決方法を教えましょう。

 人間には「馴化」という作用があり、どんなことでも大抵繰り返し経験すると、慣れてしまう生き物です。なぜ、そういう作用があるかというと、同じような刺激があるたびに反応していると、脳が疲れてしまうから。つまり、刺激に慣れてしまえば、効率よくその刺激を処理できるようになるのです。

 馴化することで、ストレスへの耐性ができあがりますし、慣れるということはそもそも学習するために必要な基礎的な能力でもあります。

 ところが馴化には、デメリットもあります。

 勉強に前向きに取り組んでいたのに、少しずつ新鮮味がなくなり、後半はほとんど頭に入ってこない……なんてことがあるのも、脳が刺激に慣れてしまうからです。

 では、このデメリットを克服するにはどうするか?

 一風変わった方法を提唱しているのが、広島大学の入戸野らの研究です。なんと、かわいいものの写真を1分間見ると、脳がリフレッシュされて、集中力などを取り戻せるというのです。

【実験内容】

被験者に、注意力を要するような、ゲーム盤の穴から小さなピースを取り出す作業と文字列から特定の字を探す作業をしてもらい、しばらくして効率が落ちてきたら、①子犬や子猫の写真を見る群、②大人の猫・犬の写真を見る群、③おいしそうな食べ物の写真を見る群で、それぞれ写真を1分間見てもらい、その前後の作業のパフォーマンスを比較した。

 結果は、ゲーム盤の穴から小さなピースを取り出す作業においては、①の子猫・子犬の写真を見た群は、写真を見た後で作業の成功が増え、成功の回数が約44%増えました。②の大人の猫・犬の写真を見た群は、同じ作業で成功が約12%増えました。

 文字列から特定の字を探す作業においては、①は正答数が約16%、②は1.4%、③は1.2%だけ増えました。

2021.04.15(木)
文=堀田秀吾