介護を通していかに家族と向き合うか

 第4話では父・寿三郎の間違いにスポットライトが当たったが、子どもたちもさまざまなかたちで間違う。

 たとえば離婚した妻に期待を寄せてしまった寿一の姿、あるいは息子の発言に耳を傾けなかった舞(江口のりこ)の姿、あるいはさくらの存在に反発しつつも恋してしまう踊介(永山絢斗)もまた「間違った」人物のひとりなのかもしれない。

 だが、家族と接するとき、一度も間違ったことのない人間なんてありえない。いつも間違って、その先でどうするかを、宮藤官九郎の脚本は丁寧に描く。まるで『カラマーゾフの兄弟』を通して、ドストエフスキーが善悪を超えて葛藤する人間たちを描いたように。

 間違いだらけの父と、間違いだらけの息子、娘が、介護を通していかに家族と向き合うか。『俺の家の話』は、介護の話だけではない、2021年の日本で生きる家族の問題そのものを、笑えて泣けるドラマとして見せてくれる。

2021.02.25(木)
文=三宅香帆