ASCは、第一印象、外見的特徴なども現わしている

 小説「満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜」の登場人物、2014年12月20日生まれの愛由ちゃんのホロスコープのASCを見てみます。

「持って生まれた性質や才能、能力は、すなわち、前世から引き継いだものです。それをどこで視るかというと、円の左端『ASC(アセンダント)』というところです(中略。愛由ちゃんの)ASCは、魚座です。このASCが、前世より引き継いだ力なんです」

 星遣いのペルシャ猫・ヴィーナスが説明をしてくれました。

「ちなみに、ASCというのは、持って生まれた才能以外にも、第一印象、外見的特徴なども現わしているんです」

——前世力を知ることで、何か良いことがあるんでしょうか?

「それはもちろん。運が開けるすべてのスタートは『自分を知る』ことなんです」

「ゲームに譬えてみましょうか。人生はRPGです。ASCは最初の装備なんですよ。その武器は、修業していないのに、自然に使えるわけです。それを手に主人公である自分は冒険の旅に向かうんですよ」

「自分がどんな武器を持っているのか分からなかったら手こずりますが、知っていたらすんなり使えて、軽やかな旅ができます」

「ただ、しばらくは最初の装備で戦えますが、成長していくにつれて事情が変わってくるんです。さらに上のステージに変わった時に、これまで使っていた武器では通用しなくなってくる。持っていた武器をさらに鍛えたり磨いたり、もしくは新しい武器を手にしたりしなくてはならないわけです」

ASCはあくまで、持って生まれた最初の装備

——前世力で注意しなければいけないことは?

「もちろん前世力を磨くのは素敵なことなんですが、時々、前世力に囚われて、動けなくなる人もいるんですよ」

「たとえば、ASCが山羊座の人がいたとします。山羊座は常識的で真面目で勤勉な、とっても日本人的なサインなんです。実はこのASC山羊座さん、前世で散々、山羊座的な生き方をしてきたので、『今世は、魚座のように夢見がちに生きていきたい』と願って生まれてきました。それなのに『そんなゆるふわじゃ駄目だろ!』と、前世から引き継いだ山羊座的な考えに引っ張られてしまって、なかなか、自分が求める生き方ができずに葛藤してしまう……。そんなこともあるんですよ」

「ASCはあくまで、持って生まれた最初の装備であって、今世のテーマというわけではありません」

「大事なのは『自分を知ること』です。自分は今世でどう生きたいのか、じっくり自分に問いかけるんですよ。いわば、自分会議です」

「その自分会議の結果、『今世は、海を泳ぐ魚のように生きたいんだ』ということが分かったら、『自分は、そのように生きていこう。でも、せっかく持って生まれた山羊座的な能力は、対人関係の際に活かすとしよう』と決めてしまうんですよ」

 自分会議の結果が間違っていたら、とつい不安になりますよね。

 でも、そんな不安にも「満月珈琲店」のマスターと星遣いの猫たちは、とっておきの美味しいメニューと一緒に答えを出してくれるのです。

『満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと~』

望月麻衣/画・桜田千尋
文春文庫 670円
» 購入する(Amazonへリンク)

満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員は、極上のメニューと占星術で、迷える人の心に寄りそう。結婚と仕事の間で揺れる聡美、父の死後、明るい良い子を演じてきた小雪、横暴な父のため家族がバラバラになった純子。彼女たちが自分の本当の願いに気が付いたとき――。美しいイラストに着想を得た心温まる書き下ろし小説。

望月麻衣(もちづき・まい)

作家。北海道出身、京都在住。『京都寺町三条のホームズ』で第四回京都本大賞。同作はシリーズ150万部を突破し、コミック化、アニメ化もされている。現在著作は42冊刊行。累計で270万部突破する。最新作は『満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと~』(文春文庫)。仕事や家族など悩みを抱える人々が、占星術の導きによって癒されるハートフルストーリーの第2弾。

桜田千尋(さくらだ・ちひろ)

イラストレーター。WEBで発表した「満月珈琲店」のイラストが話題に。望月麻衣さんとのコラボによるイラストストーリー集『満月珈琲店』を刊行。

2021.02.09(火)
文=文春文庫編集部
イラスト=桜田千尋