それでもまだ「自分の考えが十分に伝えられない」
唯一無二の魅力を存分に発揮している千葉だが、本人はまだ自分の考えが十分に伝えられていないモヤモヤを抱いているらしい。彼は女性誌「CREA」(文藝春秋・2020年9・10月合併号)で初エッセイを執筆したのだが、エッセイを書くにあたって行われたインタビューでこう語っている。
「たぶん、声変わりした頃から、自分と他人のズレみたいなものを感じ始めたのかもしれないです。僕自身は、何も変わってないはずなのに、周りが勝手に変わってしまうような妙な居心地の悪さを覚えて……。それから、人に合わせることが多くなって、高校に入ってからは、人に合わせるのも面倒臭くなって、何もしなくなった」
そして言葉数が減っていったという彼は、大学生の時に文章を書く楽しさに目覚め、「頭の中にあるモヤモヤを整理したい時は、チラシの裏なんかに、モヤモヤを書き出したり」していたという。その経験からか、今でも話すより文章にするほうが得意なようだ。
「頭の回転の速い人なら、インタビューを受けながらでも、自分の考えをクリアにして伝えることができると思うんです。でも、僕は、インタビューだと考えを“推敲”できない。頭が追いつかないんです。だから、文章がいい」
これは正直、意外だった。バラエティ番組で見る千葉もそうだが、インタビューでも話が非常に面白く、切り返しが上手い。相手には非常に「頭の回転が速い」印象を与えるにもかかわらず、伝えたいことの半分も伝えられていないというのだ。
まだまだ未知の魅力を秘めていそうな千葉雄大。今後の活躍がますます楽しみだ。
◆
2021.01.30(土)
文=田幸 和歌子