実際、これまで何度かインタビューしたときには、現場に入ってくるときの彼はいつもまるでアニメか漫画のキャラのような麗しく物静かな佇まいで、周りが薄い膜で覆われているような距離感を覚えた。
いま振り返ってみると、映画「帝一の國」(2017年)のメイキング特番などで竹内涼真や菅田将暉に対して“下ネタ”をぶっこむこともあったのだが、当時は「性格のいい千葉くんのサービスコメントかな?」程度の受け止められ方だったように思う。
ヒャダイン共演で“腹黒王子”が爆誕
しかし、そんな千葉に転機が訪れる。
2018年9月2日、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)で、千葉が “親友”としてヒャダインを紹介。スタジオに登場したヒャダインが「今見てたら(千葉は)猫かぶってます」「商業用の千葉雄大みたいな感じ」と、千葉の“裏の顔”を暴露したのだ。
最初、千葉は「ゴールデンの素晴らしい番組で(言わなくても)よくない? 猫かぶってるとか」とヒャダインに反論していたが、それでもいじってくるヒャダインに観念し「稼ぎどきなんで」とニヤっと笑ったのだ。
予想外の千葉の受け答えにスタジオは大爆笑。“腹黒王子”の爆誕にSNSも大いに沸いた。
しかし千葉が“闇”をテレビで披露したのはそれが初めてではない。2013~2017年まで放送されていた深夜番組「久保みねヒャダこじらせナイト」(フジテレビ系)での千葉は、ゴールデン番組での姿とは一線を画していた。
千葉はいつの頃からか本番組の「準レギュラー扱い」になり、不定期に出演している。ヒャダインとの「ゲイバー即興劇」ではこんなやりとりでスタジオの爆笑をさらっている。
ヒャダイン「二丁目ではアタシみたいな方がモテるわけ。アンタみたいなのは誰も相手にしない」
千葉「アタシみたいのにも需要はあるのよ、ちゃんと。わかってんの?」
ヒャダイン「アンタはちょっとかわいい顔してるからってさー、ちょっとモテてる気になってるけど」
千葉「ちょっとじゃないわよ! 超かわいいのよ!!」
ヒャダインをはじめ、様々な面白い交友関係を持つ千葉雄大。プロとしての可愛さも、あざとさも、ひそかに内面に抱えたブラックさも、闇も、彼の表現の幅につながっているのだろう。
2021.01.30(土)
文=田幸 和歌子