ただし、体が一度に吸収できるたんぱく質量は決まっていて、一気にたくさん食べても体に負担がかかる。そのため、数回に分けて食べるなどの工夫が必要だ。

「栄養素は多すぎても少なすぎてもだめ。少ない場合、限られた栄養素は生命維持に必要な機能に優先され、肌や髪、爪などの末端には行き届きません。必要な栄養素をしっかり摂ることは美容のためにも大事なことです」

赤身の肉と一緒に摂るべき食材は

 さらに重要なのは、何をどのくらい食べるかだけでなく、“何と何を一緒に食べるか”。赤身の牛肉と必ず一緒に摂るべきなのが、ベビーリーフなど濃緑色の生野菜だ。その目的は、体が、体内の酸性・アルカリ性の度合いを示すpHバランスを調整するときに負担をかけないようにするため。

アルカリ性の食材
アルカリ性の食材

「肉は種類を問わず酸性食品なので、アルカリ性食品である生野菜を一緒に摂ることで、体が酸性に傾くのを防ぎます」

 体内のpHが酸性に傾くと、体は必死で通常の状態に戻そうとして、骨に含まれるアルカリ性のカルシウムを横取りする。特に女性は、更年期になると女性ホルモンの影響で骨量が低下し、骨粗しょう症になるリスクが高まるので注意が必要だ。

「アボカドやオリーブオイルもアルカリ性なので、食べ合わせにいいですよ。葉野菜は、マグネシウムを同時に摂取できるのも利点」

不調を感じるときは腸内環境の見直しを

 このように、体に必要な栄養素を含む食材を適切に食べたとしても、体内に吸収される時のことも考えなければならないと岡部さんは指摘する。

「食べたものは胃で消化され、小腸で栄養が吸収されます。腸内環境が整っていない人は、腸管壁の粘膜に穴が開いて、未消化の毒素などが血管に漏れ出る”リーキーガット症候群”という症状である場合が多くあります。すると毒素が血液を巡ってアレルギーや関節痛、生理痛、肌荒れなどの症状を引き起こすのです。

 穀物や豆類、ナス科の野菜などに含まれるレクチンも毒素のひとつ。とはいえ、それらは少量なので、本来、腸内環境が整ってさえいれば、問題ない量です」

2021.01.10(日)
Text=Akiko Yoshikawa
Photographs=Atsushi Hashimoto,iStock