どんなタイプでも個性が思い切り振り切った
なんでも超越系が今の時代の美人たち

 そう、滝沢カレンは特異な例だが、これぞ令和時代の「不思議過ぎる癒し系」と言うべき新種の癒し系。いわゆる「不思議ちゃん」はどこかに匂うあざとさが鼻についたものだが、彼女の不思議さに臭みはない。

 それどころか自分よがりの世界に浸るのではなく、私たちも丸ごと不思議の世界に連れて行ってくれる新しいキャラクター。まさしく「何言っているかわからない」が新しい価値を持ってしまった今の時代では引く手あまた。同じカテゴリーの丸山桂里奈はイケメン元監督に望まれて望まれて、結婚までしてしまった。

 そういう意味で、令和の不思議系も半端じゃない、絶対に真似のできない言葉の反しはほとんど妖精。人として超越している別の意味で妖精なカテゴリーを作っているのが、森星やトリンドル玲奈を筆頭とする「スーパーハーフ」。

 “超お嬢で高学歴”が特徴で、この枠はアリアナさくらに世良マリカと、精神的にも高潔な10代が続々と登場、中途半端な美人たちを戦々恐々とさせている。

森 星

1992年生まれ。慶應義塾大卒。姉はタレント・モデルの森泉、祖母は世界的デザイナーの森 英恵というセレブ一家の3女。

 高学歴が何かともてはやされる昨今、「東大美人」という令和最大のブランドカテゴリーも見逃せない。いい歳をして、東大王の鈴木光に憧れたりする自分のような大人も少なくないのではないか。

 言うまでもなくこの分野には国際政治学者の三浦瑠麗や国際弁護士の山口真由がいて、もうひれ伏すしかない威光を放つ。

三浦瑠麗

1980年生まれ。東京大学農学部を卒業。国際政治学者として執筆、言論活動ほかテレビなどメディアでも活躍。

 一方、常に「元気印」で、生き生き張り切り、見ているだけで前向きにならざるを得なくなる、“ゴリ押し好感度”タレントはいつの時代も存在するが、逆に見ていて疲れるからか、気がつくと「嫌いなタレント」に名前が上がってしまうところ、アンミカは好感度をどんどん高め、ある種「前向き教祖系」とも言える存在として、ますます露出度を高めている。

 前向き過ぎる人、幸せオーラが出過ぎる人は、世の道理として女に嫌われるものだが、芸人でもないのに不思議だ。それもまたこの人の人間的な奥行きと洗練された見た目のなせる技なのか。そういう意味でこのグループには、渡辺直美がおり、フワちゃんは様子見。

アンミカ

1972年生まれ。モデルとして活躍しながら、ファッションやコスメのプロデュース、テレビ出演など幅広く活動。

 さらに令和に忘れてはならないのが、みちょぱなどの「元ギャル脱出組」、元カレが少年院に入ったとのインパクトある逸話で注目を浴びたが、露出度を増やすほどに常識的かつ地頭の良さを見せ、何年か経つと元ギャル感も抜けて指原ポジションにいたりするのかも。そこに追随するのは、ゆきぽよ?

池田美優

1998年生まれ。愛称はみちょぱ。中学生の時にギャルサーを設立。ファッション雑誌『Popteen』でモデルデビュー。

 その対極にいるのが、「令和の古典派」。いや古典派と言っても音楽におけるモーツァルトのように時代が変わろうとずっと美人でいられる別格のタイプなのだが、令和という不思議な時代においては、やはり無難な美人に位置してしまう。

 例えば新垣結衣、綾瀬はるか……令和をどのように乗り越え、日本を代表する女優になっていくのか、そこを見なければいけない人たちだ。

新垣結衣

1988生まれ、沖縄出身。モデルを経て女優に。2016年「逃げるは恥だが役に立つ」で主役を演じ、大きな話題を呼ぶ。

 古典派にはもうひとつ、黒木華などに代表される、一見ふわっとしているのに演技だけは誰にも絶対負けじという自負と覚悟が感じられる「ふんわり骨太派」がある。

 松本穂香もここに入るが、このタイプは蒼井優、のんなどから続く系譜。スッピンのイメージがあるのに男たちにとってはなんだかエロティックという、矛盾を持つ人々で、やはりその分、強い存在感を放っている。いくつになっても主役を張れる息の長さを含んでいるから美人の中でも生涯レベルから見ればとてもお得。

黒木 華

1990年生まれ。NODA・MAPなどの舞台で注目を集め、『舟を編む』や「凪のお暇」など人気の映画やドラマで活躍。

2021.01.02(土)
文=齋藤 薫

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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