今やオタクこそが 人間として魅力的
![1:[フローラドリップ] 厳選した植物を純白麴「しらかみ」で発酵させ、有用成分を凝縮。肌に心地よく溶け込む、濃密な化粧液。160mL 13,000円/アルビオン
2:[クラリフィック デュアル エッセンス ローション] 酵素のパワーで古い細胞を排出し、肌の生まれ変わりをサポート。くすみのない透明感あふれる肌へ導く。150mL 11,000円/ランコム](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/7/-/img_1774eae81dc7e2a411df5ca72171c20d41172.jpg)
2:[クラリフィック デュアル エッセンス ローション] 酵素のパワーで古い細胞を排出し、肌の生まれ変わりをサポート。くすみのない透明感あふれる肌へ導く。150mL 11,000円/ランコム
日本有数の美容オタクと言われる人たちは、みな濃厚な幸せ人生を送ってる。
キャラも濃いが、生きるパワーも人並み外れているからだ。
最もリアルでダイレクトな自分磨きである美容に執着する人は、当然のことながら自己愛に基づく向上心が半端じゃないうえに、朝も夜も365日自分に手を抜けないから、人生をマクロではなくミクロでとらえる生態がある気がする。
だから平凡な幸せなんかより、自分の強烈な存在感を築き上げて世の中に足跡を残すことのほうに価値を見いだすのだろう。
その最たるものが、叶姉妹。自分自身に全身全霊を傾け、 サイボーグ的な美を確立したこの姉妹ほど、何があろうと一点の曇りもない幸せを全身から放出している人はいない。
ありきたりな結婚などより、365日ドレスを着て、お胸たゆたう自分美への盲愛生活のほうがずっと幸せかも、と一瞬でも思わせてくれるって凄いこと。
そもそもが美肌や豊かな胸、立派な筋肉を持つ人に不幸感は宿らないが、そういう意味でも今にわかに煌めく存在感を増しているのが、美肌オタクの田中みな実であり、筋肉オタクの武田真治。
ただし美容オタクは他のオタクと違って、生身の自分が対象物だけに、年齢や時代の変化により偏愛にも戸惑いや落胆が生じ、他のオタクのようにあっけらかんと幸せを謳歌し続ける人生ではないことを断っておきたい。
この辺り、美のプロフェッショナルであり、“女装”という宿命的な難題に挑み続けるIKKOは全て承知の上。
だから人を美人にする技に説得力があり、自分美をも笑えるオタクだから、最も愛される自分美オタクという、唯一無二の存在感を時代に刻みつけたのだ。
![3:[タン・クチュール・クッション] フィルムを形成する特殊なポリマー配合で、キメとハリの整った隙のない肌に。SPF20・PA++ 全6色 7,100円/パルファム ジバンシイ
4:[ボタニック サイエンス 薬用 美容液クッションコンパクト] ケアをしながら美肌をかなえる美容液ファンデ。SPF30・PA+++[医薬部外品]全4色 3,200円(編集部調べ)/資生堂(9月以降発売予定)
5:[ボーム エサンシエル スカルプティング] 淡いピーチカラーが肌に溶け込んで端正なメリハリと濡れたようなデューイなツヤをもたらすフェイスカラー。5,500円/シャネル](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/-/img_9f654e5fd69bb1811a16f45f42c7aba272037.jpg)
4:[ボタニック サイエンス 薬用 美容液クッションコンパクト] ケアをしながら美肌をかなえる美容液ファンデ。SPF30・PA+++[医薬部外品]全4色 3,200円(編集部調べ)/資生堂(9月以降発売予定)
5:[ボーム エサンシエル スカルプティング] 淡いピーチカラーが肌に溶け込んで端正なメリハリと濡れたようなデューイなツヤをもたらすフェイスカラー。5,500円/シャネル
最後に、偏愛されるべき化粧品の条件。
1、香り感触に中毒性があるスキンケア
2、ほぼ全方位に不思議な効き方をする発酵効果
3、一人何役もこなすハイブリッド効果
4、肌に完全に馴染みきるメリハリ作りのアイテム(ハイライターやシェーディング)
5、結局のところ最も簡単に美肌になれ、崩れないファンデーション……一度使うとクセになるから、のちに必ずロングセラーになる運命なのだ。
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌で多数の連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『されど“男”は愛おしい』(講談社)など、著書多数。
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Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2020.06.29(月)
文=齋藤薫
撮影=釜谷洋史
CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。