取材が行われたのは、社会が、ソーシャル・ディスタンシングを提唱し始める2週間ほど前のこと。
スタッフは全員マスク姿だが、俳優・田中 圭さんが被写体としてスタジオの真ん中に立つと、自然と周囲から笑い声が沸き上がった。
CREA WEBでは、CREA2020年6・7月合併号に掲載中のインタビューの一部を大公開します!
悔しさをいっぱい感じる主人公が 人間らしくて素敵でした
短時間での撮影で、「これは採用されないだろうけれど」と言いながら変顔をしたり、即興ダンスを披露したり。その姿はエンターティナーそのもの。すぐれた俳優は、何もない空間も一瞬にして劇場へと変えてしまう。
この時期、2本の連ドラ撮影を掛け持ちしていた彼だが、6月には、主演映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』の公開が控えていた。※映画は近日公開の予定
演じたのは、長野五輪スキージャンプで、代表に落選しテストジャンパーとなった西方仁也。団体での“悲願の金メダル”を陰で支えた、実在の人物である。
「“悔しい”という感情がいっぱい出てくる役で、頻繁に“何くそ!”と自分を奮い立たせているんです。そういうカウンターのエネルギーが、人間らしくて素敵だなと思いました。
自分の中でも、悔しさというのは頑張る原動力だったりするので」
2020.07.23(木)
文=菊地陽子
撮影=MURAKEN
スタイリスト=岡部美穂
ヘアメイク=大橋 覚