●リーダーとしての苦悩と葛藤

――そんな当初とは違う状況のなか、水野さんはリーダーに就任されます。

 メンバーになって、1年経たない頃に事務所の社長から指名されたのですが、当時の自分は、まだ20歳。特にリーダーになりたいとも思っていなかった。

 10歳ぐらい年齢差のある年上のメンバーもいたし、いろいろ言われることもありました。すべての責任を負わなければならないし、正直辛かったです。

 10周年を迎える2年ぐらい前、2018年の頃には自分も含め、メンバーが大人になり、少しずつ知名度が上がったことで自分たちのやりたいことが明確になり、そこに向けて行動できるようになりました。

 そのとき、やっと「自分がリーダーでいいんだ」という気持ちになれた気がしたんです。

――ちなみに、リーダーとして、常に心掛けてきたことはありますか?

 メンバーの悩みはそれぞれ違うので、常に気を配るというか、稽古や公演終わりとか、できるだけコミュニケーションを取るようには心掛けていました。でも、お客さんが増えない理由だけは、本当にわかりませんでした。

 当時の名古屋出身のグループといえば、2年先輩のSKE48さんしかいなくて、ボーイズグループは僕たちだけ。なのに、何をやってもダメ。

 そんななか、毎回決められたお芝居を見せるミュージカルよりも、そのときどきのテンションが肝となるライブの方が、お客さんに求められていることを知っていくんです。

2020.07.10(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘