山へ! 海へ!
スケールの大きなタヒチ島

 タヒチ島の北側、パペノオ渓谷への4WD車ツアーに参加してみた。

 舗装道路からラフロードに変わり、キシキシと車体をきしませながら、車は走る。

 道のでこぼこに合わせて、首もがくん、がくん。緑の濃度が増すのに比例して、南国の風もひんやりしてくる。

 気を許した瞬間に車が川を渡り、大きく飛び散った水しぶきでびしょ濡れになった。

 ガイドは、山や谷のタヒチ語の名前の由来や、ドラムのように叩いて合図を送った板根など、島に伝わる叡智を教えてくれる。

 ハワイのキラウェアに暮らすペレの生まれ故郷であるなどの、伝説も興味深い。そして、ガイド自慢の美声も、ウクレレの弾き語りで一曲。

 半日ツアーのハイライトは、巨大なクレーター。

 屏風のように切り立った壁に幾筋かの滝が流れ、稜線から深い霧が山肌を伝っておりてくる。スローモーションの映像を見ているように、風景が移ろっていく。

 1日ツアーではさらに深部、フレンチポリネシア最高峰のオロヘナ山へも分け入っていく。楽園タヒチのワイルドな面に触れる体験だ。

 海もまた、超ド級のワイルドさ。

 タヒチイチの幹線道路の終着点、“エンド・オブ・ザ・ロード”の沖に、世界で最も美しくも危険なモンスターウェイブがやってくる。

 サーフィンの国際大会も開かれる、サーフスポット「チョープー」だ。

 巨大なうねりが盛り上がり、巻き込むようにチューブを描き、轟音とともに水面を叩いて、盛大に波しぶきが立ち上る。

 数年に一度のいわゆる“ヒット”がやってくると、波は高層ビルのようにそそり立ち、トップクラスのプロサーファーでさえ、たじろぐという。

 そんなチョープーの波にボートで接近し、すぐそばで見させてくれたのが、ガイドのマイケルさん。

 本来は、さらに洞窟探検や白砂のサンドバンクなどへも行く予定だったけれど、この日は天候が悪く、断念。

 マイケルさんいわく、「“エンド・オブ・ザ・ロード”から先は徒歩か、ボートでしか行けない面倒な場所だけれど、リアルなタヒチがある」。

 6~11月、この海域にザトウクジラがやってくる。なんと、夢の“ホエール・スイミング”も行うそうだ。

パペノオ渓谷ガイドツアー
Marama Safari 4X4
(マラマ・サファリ 4X4)

所在地 Faa’a Tahiti
電話番号 078-40-11

タヒチイチのガイドツアー
Teahupoo Excursion Taxi Boat
(チョープー・エクスカーション・
タクシーボート)

所在地 PK16.3-Marina Teahupoo, BP111-98723, Teahupoo
電話番号 089-75-11-98
http://www.teahupooexcursion.com/teahupoo_taxi-boat/ACCUEIL-HOME.html

2019.09.03(火)
文・撮影=古関千恵子