#176 Cannon Beach
キャノンビーチ(アメリカ)

「ポートランドからビーチへ行けるの?」
タヒチ島の海辺のプチホテルで、偶然知り合ったポートランド在住の愛さんとチャドさんご夫妻との、この会話がオレゴンのビーチめぐりのきっかけでした。
「オレゴンにはいいビーチがたくさんありますよ」と、チャドさん。
それから半年後、「本当かな?」と半信半疑ながらも、ポートランドにも興味があったので、シアトルへ行った際に足を延ばしてみることにしました。

朝8時に愛さんとチャドさんにピックアップしてもらい、ポートランドを出発。26号線を西へ約128キロ走ります。
ヒイラギや針葉樹が茂る森林の中の道を、車は軽快に飛ばしていきます。走ること約1時間30分、まずはエコラ州立公園へ。

パーク内に入ると、さらに緑が増します。聞くところによると、ルーズベルトエルク(アメリカアカシカ)の目撃談もしばしばあるとか。
メインパーキングに駐車し、丘の上に向かうと、キャノンビーチが眼下に!

ビーチが遠くまで見渡せ、背後にいくつもの山が折り重なっています。そしてオレゴンのアイコンである、ヘイスタック・ロックを中心にいくつもの奇岩が海にぽこぽこと浮かんでいます。
こんな奇観、はじめてです。
これは、1,700万~1,000万年前に火山から噴出した溶岩が時間差を起こしながら固まり、海によって浸食された海食柱の連なり。
ひときわ大きなヘイスタック・ロックは、高さおよそ72メートルもある玄武岩の一枚岩です。

いくつもの波が押し寄せ、巨岩にぶつかり、すり抜け、浜辺に打ち寄せる壮大な風景は、高いところから見下ろすと感動もひとしおです。
こうやって溶岩が少しずつ削られ、今の風景になったわけで、数万年後にはまた違う形になった奇岩群を誰かが見下ろしていると思うと、自然の大きなサイクルを感じます。
2019.07.13(土)
文・撮影=古関千恵子