中国とマレー半島の融合の味
マラッカうまれのニョニャ料理

 マラッカといえば、ニョニャ料理です。中国からの移民が築き上げた独特の料理で、さまざまな食文化がミックスしてうまれた味。ペナンやシンガポールでも人気のニョニャ料理は、ここマラッカから広がったといわれています。

 タケノコなどの中国食材、東南アジアならではのココナッツミルクや唐辛子、そしてパンダンリーフやレモングラスなどのハーブを多用する多彩な味わいは、一度味わうと忘れられません。

 煮こみ系の料理が多いので、見た目の派手さはありませんが(上の写真も茶系が多いです! )、料理に使うペーストをひとつひとつ手作りするなど、たいへん手がこんでいます。

 また、前菜、野菜、カレー、麵、デザートまで、バラエティ豊かに楽しめるのも魅力。

 マラッカにはたくさんのニョニャレストランがあります。

 ジョンカー通りにある「カフェ1511」、ホテル・マジェスティック・マラッカの近くの「マニス・ジェイ・ニョニャ」「ブルドッグ」、そして観光客のみならず地元の人も足繁く通うのが「ナンシーズ・キッチン」です。

 ナンシーさんはプラナカンの家庭で生まれ、ニョニャであるお母さんの料理を日々手伝うなかで伝統の味を覚えていったそう。フレッシュなハーブ、搾りたてのココナッツミルクを使うレシピは、昔ながらの母の味なのです。

Nancy's Kitchen(ナンシーズ・キッチン)

所在地 13,13-1,13-2, Jalan KL 3/8Taman Kota Laksamana,75200,Melaka
電話番号 06-283-6099
営業時間 月・水・木・日曜11:00~17:00、金・土・祝11:00~21:00
定休日 火曜
アクセス マラッカ中心部から車で約10分
http://www.eatatnancyskit.com/

 そのほか、以前紹介したクリスタン料理店「メルバ・アット・ザ・マンション」もディナーにぴったり。また、ジョンカー通りのナイトマーケット(週末限定)は夜のお散歩におすすめです。

 屋台飯から優雅なレストランの味まで、マラッカの名物料理はとてもバラエティ豊か。この多様な味は、さまざまな文化を持つ人が暮らすマラッカならではのふところの深さ。

 世界遺産の町で育まれた食文化をぜひ味わってみて下さい。

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)

「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編、『ナシレマッ!』『マレーシア人に習った50のレシピ』(Malaysia Gohan kai)を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://malaysianfood.org/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2019.06.05(水)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)