オーディションに臨む姿勢は
「いかに落ちないか」

――その後、『銀の匙 Silver Spoon』や『クローズEXPLODE』などにも、小さいながらインパクトある役で出演されますが、当時はオーディションで役を勝ち取っていったのでしょうか?

 大人計画の研究生同期5人のなかで、僕だけヴィジュアルがダメだったんで、オーディションにもなかなか呼ばれませんでしたね。その数少ないチャンスのなかで、「いかに受かるか」というより、「いかに落ちないか」ということばかり考えていました。正直メンタル弱いんで(笑)。だから、そのための準備は怠らなかったですね。

――さらに、15年にはドラマ「ブスと野獣」で初主演を務めます。

 前の年(14年)には、ほぼ無名状態なのに、朝ドラ「花子とアン」や「水球ヤンキース」にも呼ばれたり、奇跡が連続してるんです。だから、本当に有難いことですし、その感謝の気持ちだけで、一生懸命やらせてもらいました。今もそうですが、宮藤(官九郎)さんが脚本を書かれた「ごめんね青春!」に出してもらえた影響も大きいと思います。「ブスと野獣」で初めて主演させてもらったことで、自分の芝居のスキルが上がっていくのを体感できました。

――ちなみに、ご自身の転機となった作品は? 

 今後、役者としてやっていくスイッチが入った作品でいえば、「ブスと野獣」と『ちはやふる』です。それまでは大人たちに応援される立場だったんですが、『ちはやふる』では大きなプロジェクトの中で、西田(肉まんくん)という役を担う責任があって、それが自分にとって刺激的だったんです。ちなみに、『ちはやふる』の『下の句』と同時に、「ブスと野獣」を撮っていました。

2019.05.10(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘