直木賞作家、西加奈子の同名小説を映画化した『まく子』。
小さな温泉街を舞台に、大人になることに抵抗を覚えている11歳のサトシが、なんでも「まく」ことが好きな不思議な転校生・コズエとの出会いを通して少しずつ成長し、周囲も変化していく姿を、ファンタジーを交えて描いている。
主演二人の成長について
剛のテンションアップ
その舞台挨拶付き完成披露上映会が2月20日にシネ・リーブル池袋で行われた。
主演の山﨑光、新音(にのん)、サトシの父親で女好きな板前の草彅剛と、母親で旅館の女将役の須藤理彩、鶴岡慧子監督が登壇。挨拶では草彅剛の天然っぷりが炸裂し、驚きのエピソードも明かされ、大いに盛り上がった。
映画『まく子』の持つユーモアと希望そのままのようなトークの模様を一部紹介しよう。
西加奈子作品のファンだという須藤は、「西加奈子さんの描く『まく子』の世界観と、そこに監督の奇想天外なアイデアとやさしさとが溢れた作品になっています」と語る。
草彅も「すごいピュアな心がつまった映画で、僕は浮気をしたり、ものすごいダメおやじを演じています。僕としては新境地をちょっと切り開くことが出来た役だと思っています」と、ちょっと色っぽい役どころについて語った。
だが、1年前の撮影を振り返り、二人の成長について話しはじめると、草彅のスイッチが入ったのか、一気にテンションがあがる。
草彅 山﨑君が撮影のときと違いすぎて。そんなかっこいい服を着るなんて。立派な俳優だよ。新音ちゃんも大人っぽくなった。新音ちゃんは撮影のときから大人っぽかったけど、大きくなったね。
新音 165センチくらいになりました。
草彅 もう抜かれちゃうなあ。でも俺も40歳を越えてから、2センチ身長が伸びたの。(会場どよめく)だからあきらめないで(笑)。サトシは?
山﨑 撮影のときが、155か156だったんですけど、いまは163センチ。
草彅 8センチも? コズエ(新音)ちゃんより伸びているじゃない。撮影では見上げてたもんね。
山﨑 はい。5センチくらい違ったので。
草彅 原作でもそういう設定で、本当にあのときにしかいない、サトシとコズエちゃんなんだよねえ。それだけ、僕らも年取ってるってことだけど(笑)。
須藤 皺が2本分くらい増えてますね(笑)。
草彅 僕らはわかりにくいけど、二人は1年でこんなに目に見えて成長してるという。
須藤 私たちも成長って言えばいいじゃないですか(笑)。
草彅 成長か。そのすべての瞬間を映画が切り取っている。
鶴岡 ギリギリのタイミングでしたね。アフレコのときにはもう声変わりしはじめていて。
草彅 瞬間を切り取って。やりましたね、監督! 群馬の温泉地で泊まり込みでずっと撮影していて、僕は軽い気持ちでしたが、二人はすごく役に入っていて。僕は適当なオヤジの役だったので、それくらいがいいかな、と(笑)。
須藤 完成した映画を観たら、「初めて見る草彅さんだ」と思って、すごく感動しました。
草彅 ありがとうございます。それは新たな一面を、皆さんが引き出してくれたので。
ここで須藤理彩から草彅剛の、びっくりエピソードが明かされる。
2019.03.15(金)
文・撮影=石津文子