時を重ねることで生まれる優雅な雰囲気と建物からしつらえに至るまで、数々のストーリーに彩られたクラシックホテル。極上の眠りのあとの贅沢な朝食も楽しみのひとつ。おすすめのホテルを、「世界のベストレストラン50」日本評議委員長の中村孝則さんに教えてもらいました。
作家気分で目覚める朝は
胃に優しい最高のご馳走を
●山の上ホテル
since:1954
architect:
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
number of rooms:35

御茶ノ水駅や神保町駅から近い、まさに東京の真ん中。でも、その名前のとおり、小高い丘の上にあるからだろうか、アール・デコスタイルの建物に一歩入れば、浮世を忘れる別世界。
池波正太郎をはじめとする多くの文化人に愛され、出版社が作家を宿泊させて“カンヅメ”にするホテルの代名詞としても有名だ。

ルームサービスの朝食としても提供されている「洋風雑炊」は、もともとは作家たちの深夜のお夜食が発祥。
フランス料理の厨房で仕込むコンソメを使う贅沢な雑炊は、鶏肉やホタテも入り、旨みが幾重にも重なったおいしさ。
コンビニなどがない時代、しかも時間がないときに食べる最高のご馳走だったに違いない。朝の胃に優しく、豊かな気分になれるメニューだ。
右:石やタイルを使った外観も、アール・デコの特徴的なスタイル。
山の上ホテル
所在地 東京都千代田区神田駿河台1-1
電話番号 03-3293-2311
宿泊料金
◆1室1名利用時の1名最低料金 24,948円
◆1室2名利用時の1名最低料金 19,008円
※平日、休前日ともに、全て朝食のみのプラン
ひとり料金 1泊朝食付き 24,948円~
ひとり対応 通年可
客室数 35室
食事 朝:部屋・食事処(個室あり)/夕:部屋・食事処(個室あり)
チェックイン 14:00/チェックアウト 12:00
交通 JR御茶ノ水駅より徒歩5分
http://www.yamanoue-hotel.co.jp/
●紹介してくれたのは……
中村孝則(なかむら たかのり)さん
コラムニスト、美食評論家。ラグジュアリー・ライフ関連の執筆活動やテレビ番組で活躍。「世界のベストレストラン50」日本評議委員長。
※宿泊料金は、とくに表記のない場合は、税金・サービス料別の最低料金を記載しています。入湯税は含まれている場合もあります。詳しくは施設にお問い合わせください。

朝ごはんが待ち遠しい
クラシックホテル9選
2019.01.09(水)
Text=Mei Hojo
Photographs=Wataru Sato
CREA 2019年2・3月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。