魔法少女オタクの中学生が
悪の組織をプロデュース
伊達地図子は、魔法少女ファン。自称〈いたってフツーの中学生〉である彼女が暮らす街は、悪の総帥クロマに狙われていた。対するのは、魔法少女のベリーブロッサムだ。「かわいい。かっこいい。超好き!」。彼女の活躍に地図子はうっとりするものの、たちまちがっかり。いつも通りにクロマは正面突破の単細胞攻撃しか繰り出さず、あっさりやられたからだ。〈もっと不意打ち中心で攻めてほしい強いてくれ! 苦戦を…!!〉。
ファンとしては、苦痛で顔を歪ませる姿が見たいのだ。その欲望を耳にした悪の総帥が、地図子の前に現れて言う。〈参謀になってもらいたい〉。〈こんな卑怯な手どこで覚えたの!?〉。ベリーブロッサムの発言に胸を痛めながらも、彼女の生き生きした姿を見て大号泣。大好きで見つめ続けてきたからこそ、相手の行動や思考が予測できるし、弱点もよく分かる。魔法少女の最大の敵は悪の総帥ではなく、熱狂的なファンなのだ。
『アクロトリップ』 (既刊1巻)
私の好きな魔法少女をもっと輝かせたい! 魔法少女オタクの中学生・伊達地図子が、悪の組織をプロデュース。例えば……ステッキを奪えば魔法が使えないんじゃない? 苦戦を強いられる側のベリーブロッサムも、実は心なしか嬉しそうなのでした。『りぼん』連載中。
佐和田 米 集英社 440円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2019.01.04(金)
文=吉田大助