海の恵みをカレーで味わう
マレーシア人は、ほぼ毎日カレーを食べています。ココナッツライス「ナシレマッ」にかけたり、小麦粉の生地をサクサクに焼いた「ロティ・チャナイ」のソースにしたり、麺を入れてスパイシーなカレーヌードルにしたり。もちろんご飯のおかずにも。

そんなカレー三昧のマレーシア人が愛してやまないのが、魚の“お頭”を具にした「フィッシュヘッドカレー」。魚のエキスがたっぷりしみ出たカレーで、以前紹介した「チキンカレー」と肩をならべる人気度。マレーシアに住んでいたころ、友人とよく食べた思い出の味でもあります。

日本では、仕込みに手間がかかり知名度もこれから、という状況なので、提供しているレストランはわずか。でも食べたい! そんなときは、大阪・難波のマレーシア料理店「ケニーアジア」をおすすめします!

やわらかな魚の身やカレーがしみた野菜ももちろんおいしいのですが、私が一番感動したのは、カレーの汁(マレーシアではクアとよぶ)。
サラッとしたスープ仕立てで、辛さはひかえめ。魚のだし、スパイスの刺激、そこにタマリンドのフルーティーな酸味が絶妙に融合し、コクがありつつも、あと味にはさわやかな清涼感。食べれば食べるほど、いや、汁を飲めば飲むほどやみつきになり、いっそタンブラーに入れて持ち歩きたくなるほどです。
このカレーのレシピは、マレーシアのペナン島出身のオーナーシェフ、ケニーさんがお母さんから受け継いだもの。大阪に観光に来たマレーシア人が「ここのフィッシュヘッドカレーは地元で食べるよりもおいしい」と絶賛し、2日連続で食べにきた、という逸話もあるくらい現地の味です。
2018.07.31(火)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)