海の恵みをカレーで味わう
マレーシア人は、ほぼ毎日カレーを食べています。ココナッツライス「ナシレマッ」にかけたり、小麦粉の生地をサクサクに焼いた「ロティ・チャナイ」のソースにしたり、麺を入れてスパイシーなカレーヌードルにしたり。もちろんご飯のおかずにも。
![マレーシア人は老若男女問わず、みんなカレーが大好き。首都クアラルンプールにはインド系料理店が多数あり、どこもにぎわっている。写真は、ご飯とおかずにカレーソースをかける「バナナリーフカレー」の店。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/-/img_24ed6eca0473c1fe1817d18607612f27142455.jpg)
そんなカレー三昧のマレーシア人が愛してやまないのが、魚の“お頭”を具にした「フィッシュヘッドカレー」。魚のエキスがたっぷりしみ出たカレーで、以前紹介した「チキンカレー」と肩をならべる人気度。マレーシアに住んでいたころ、友人とよく食べた思い出の味でもあります。
![クアラルンプールで食べていたフィッシュヘッドカレー(右手前)。大ぶりの魚の頭を使い、土鍋で提供される。ひとつの鍋をみんなで取り分けていたので、日本の鍋文化に通じるものがあった。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/-/img_333444f625d56f104dd171d6b588aadc157504.jpg)
日本では、仕込みに手間がかかり知名度もこれから、という状況なので、提供しているレストランはわずか。でも食べたい! そんなときは、大阪・難波のマレーシア料理店「ケニーアジア」をおすすめします!
![大阪にある「ケニーアジア」の「フィッシュヘッドカレー」1,500円。チキンスープで炊きこんだハーブご飯も付いている。魚の頭をメインに、茄子、トマト、オクラ、人参、厚揚げなど具だくさん。数量限定なので、できれば予約を。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/5/-/img_65561d27e28393393678d4d1ca9fff7a228269.jpg)
やわらかな魚の身やカレーがしみた野菜ももちろんおいしいのですが、私が一番感動したのは、カレーの汁(マレーシアではクアとよぶ)。
サラッとしたスープ仕立てで、辛さはひかえめ。魚のだし、スパイスの刺激、そこにタマリンドのフルーティーな酸味が絶妙に融合し、コクがありつつも、あと味にはさわやかな清涼感。食べれば食べるほど、いや、汁を飲めば飲むほどやみつきになり、いっそタンブラーに入れて持ち歩きたくなるほどです。
このカレーのレシピは、マレーシアのペナン島出身のオーナーシェフ、ケニーさんがお母さんから受け継いだもの。大阪に観光に来たマレーシア人が「ここのフィッシュヘッドカレーは地元で食べるよりもおいしい」と絶賛し、2日連続で食べにきた、という逸話もあるくらい現地の味です。
2018.07.31(火)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)