vol.14 POMELLATO(ポメラート)
リング「リトラット」
強い陽射しが眩しい季節になると、決まって恋しくなるのが、色とりどりのカラーストーン。軽やかな装いになる夏には、ダイナミックな光に映える、迫力のある大ぶりのリングが似合います。カラーストーンというと、透き通った半貴石を想像する人が多いと思いますが、今、私が惹かれるのは、「不透明なカラーストーン」です。
例えばラピスラズリやタイガーズアイなど、カラーストーンでも透けない石は、大地のような力強さがあり、宝石は地球の恵みだということを強く感じることができます。入手困難とされる石に職人の手仕事を経て息を吹き込み、見事なジュエリーに仕上げたのが、ポメラートの「リトラット」コレクションです。石の表面に施したさざ波のようなカッティングは、古代インドの細密画のカバーに使われていた「ポートレートカット」にインスピレーションを受けたもの。
光の加減によって表情を変えるリングは、まるでイタリア女性のような強さと華やかさを併せ持つ存在。大胆な2カ所の爪にはダイヤモンドを施し、モダンなデザインアクセントになっています。こっくりとしたカラーは日本人の黒髪や肌色にも映え、知的な印象を演出します。
「あのリングをしていた女性」というふうに、人の記憶にも残りやすいので自分のアイコンジュエリーにしても素敵だと思います。つけるたびにうっとりと見惚れるほどの美しさが何よりの魅力です。
「今夏なら、あえて洋服も鮮やかなカラーにして、色×色のコーディネートが新鮮」と伊藤さん。
「例えばサルマ・ハエックのようなラテン系の迫力ある女性がイメージ。色石を決めるときには直感で“これ!”と思うものを選ぶのがおすすめ。“今の自分はこんな色を求めているのね”と発見したり、心にすっと染み込んでいくことが多いですよ」
伊藤美佐季(いとう みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を活かしたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持が厚い。ジュエリーに関する講演などでも活躍。
Column
伊藤美佐季のSource of yourself
ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。
2018.06.25(月)
Styling=Misaki Ito
Photographs=Masami Naruo(SEPT)
Make-up=Tomohiro Muramatsu(sekikawa office)
Hair=Tomomi Roppongi
Text=Miwako Yuzawa