古都の一日は托鉢で始まる
翌朝は早起きをして、朝の托鉢を見学。托鉢とは、修行僧が鉢を持って街を歩き、人々から施しを受けて回ること。敬虔な仏教国であるラオスでは、人々は朝早く道で僧侶を待ち、彼らが持つ鉢の中へ、もち米やバナナの葉で包まれた蒸し鶏などのお布施を入れていく。
ラオス全土で托鉢は行われているが、ここルアンパバンではちょっと事情が異なる。夜明け前に行われるべき托鉢も、観光客が撮影するカメラのフラッシュが僧侶の目に悪いため、日の出直後に。また、撮影に夢中になった人が事故にあわないよう、この時間は車両通行止めになる。
右:次々と売り子のおばちゃんがやってくるが、ホテルのデスクには、「路上の売り子からではなくローカルマーケットで托鉢のお布施を購入してください」と注意書きがあった。
お供えをするときは裸足で膝立ちの姿勢になるが習慣なのだが、慣れない外国人用に小さな椅子が用意され、お布施セットまで売られている。いわば観光客向けにアレンジされているわけだが、これもルアンパバンの大事な観光要素のひとつなのだろう。
托鉢を体験しようという観光客が多いから、お坊さんたちが持つ鉢はあっという間にお供え物でいっぱいになってしまう。これらは、いったん沿道のカゴに入れられ、貧しい人たちが持ち帰っているという。
托鉢はショーのようでもありちょっと複雑な気持ちになるけれど、大量の食料が無駄になっていないのなら、ひと安心。
托鉢の後は、プーシーの丘までひと登り。ここは先述の通りサンセットの名所として知られているが、朝の凜とした空気のなかでの眺望もすばらしい。朝食の用意をしているのか、民家から竈の煙があがっている風景も美しかった。
プーシーの丘を下った後は、すぐ近くの朝市へ。ナイトマーケットは観光客向けだが、朝市は地元民のためのものと聞き、がぜん興味が湧く。野菜や魚、カエル(!)なども売られていてローカル色を満喫できて大満足。なかにはセンスのいい露店のコーヒーショップもあって、なかなか楽しい。
托鉢に絶景にマーケットと、朝をたっぷりと堪能した後は、ホテルにいったん戻って、朝食を。私はふだん、ホテルで朝食を食べることはめったにない。もともと朝食を食べない習慣なのと、旅先ではローカルの朝ごはんを満喫したいからだ。
でも、「アヴァニプラス ルアンパバーン」には、ラオス風お粥や地元でとれたフルーツなど、食べたくなる朝食メニューが豊富に揃う。ローカルの食材を使った朝ごはんは、お腹と心を満足させてくれた。
朝食は、スタッフとの会話も楽しみだった。実は、朝市の存在を教えてくれたのも彼ら。朝市はメインストリートからちょっと入ったところにあって、その存在に気づきにくい。「地元の食材が並んでいて、面白いからぜひ行ってみて!」というスタッフの勧めで訪ねることができたのだ。
2018.05.01(火)
文・撮影=芹澤和美