東南アジア最後の楽園と称される未知の国ラオスでは素朴な暮らしが継がれ、祈りが響き、笑みが舞う。ルアンパバーンの旅の醍醐味は、麗しき姿を残すコロニアル・ホテルに眠り、夢と現実とを行ったり来たりのタイムトリップ。異国情緒に浸り、非日常を精一杯楽しめばいい。

» 第2回 築100年余りのコロニアル建築「スリー・ナガス」
» 第3回 白亜のホテル「アンサナ・メゾン・スバナポン」

植民地の風情薫る
邸宅のような瀟洒な館

◆ Amantaka (アマンタカ)

左:中庭の中央にあるスイミングプール。手入れの行き届いた庭園は朝露に濡れ輝いて見える。
右:周囲を客室やスパ、メイン棟が囲む。

 世界各国のハイダウェイや風光明媚な町や村に31軒のリゾートを展開するアマン。1988年、プーケットに初となる「アマンプリ」を誕生させて以来、いずれも際立つ個性と、シンプルながら高級感漂う独特なエレガンスをブランドの要としてファンを魅了してきた。

すべての客室に屋外テラスが付き、室内もリビングエリアと寝室が別。浴室には猫脚のバスタブ。

 ルアンパバーンが世界遺産の町として観光ブームの波に乗り始めた頃、2009年7月にアマンはこの聖なる町に「アマンタカ」を創業。「プライベートな邸宅にいるような……」と謳うアマンのリゾート哲学は、ここアマンタカにもしかと貫かれている。

 フランス植民地時代に州政府関係の建物だったアマンタカのヴィラは、全15棟のうち、9棟がユネスコの世界遺産保護を受けていたため、慎重かつ念入りに修復が施され、一部の新築棟も世界遺産条約に批准して建てられた。

離れのヴィラ、アマンタカプールスイート。
左:コリドーを利用した、ダイニングのベランダ席は風通し良く快適。フレンチ式のドアがコロニアルムードを演出。
右:ジューシーで美味しい鶏挽き肉炒めとハーブ、野菜、丸茄子に唐辛子を添えた“Ping Sin Kai”。ラオス料理に唐辛子は欠かせない。

 アマンタカとは、サンスクリット語の「アマン(平和なる)」に、上座部仏教で“仏の教え”を意味する「タカ」を併せ持つ聖なる名だ。その名の通りに、アマンタカはとても平和な空気に包まれている。そこでは、付かず離れず見守るスタッフの優しい眼差しに、ゲストは心穏やかな滞在を約束されているのだ。

左:アマン専用のエレガントなトゥクトゥク。
右:客室内のリビングエリア。

Photo=Hiroshi Abe
Text=Kyoko Sekine
Special Thanks=Keomaly(HAPPY SMILE TOUR)