誰も発想できなかった変則的な形は、美を生む大発明!
肌づくり、顔づくりのお道具は進化をやめない
マッサージ機器には、これが正解という普遍の法則が見えてきていない。今なお進化し続けていて、一体どこまで行くかわからないからだ。
いや、ひとつの永久定番として確立したものはある。言うまでもなく“コロコロ”マッサージローラー。アイスキャンディのような棒状の機器の側面を、頬の上をコロコロと転がしてリフトアップさせるという手軽さから、空前のベストセラーとなったもの。
本来はゲルマニウムの半導体チップを装着しているから、エステティシャンのタッピングを再現するのが目的だったが、今やこの“コロコロローラー”も、プラスチック製のものから100円均一に登場するものまで異様な拡大を見せていて、行く末が少し心配にもなってきた折も折、“ポスト・コロコロ”とも言うべき機器が続々登場してきたのだ。
アユーラ ビカッサヘッドプレート¥2625(5月23日発売)/アユーラ ラボラトリーズ
b エステティシャンの「つまみ流す」動きを製品化。顔周りや体のたるみ、もたつき、セルライトを引き締め、引き上げる。
ReFa CARAT(リファカラット) ¥24900/MTG
c 美容整体師が監修。深層筋を鍛え直し、顔全体のゆがみにアプローチし、ハリと引き締めをもたらす。
ミリオンスマイル ¥16800/スターアベニュー
進化するほど不思議な形になっていく
今、“ポスト・コロコロ”の最有力候補が、V字ゲルマローラーを大ヒットさせたリファの新作(b)。クルクル回る球体が2つ、筋肉を上手につまみ、ギュウギュウもみ上げるような、まったく新しい動きを実現した。これぞ進化の賜。70度の角度、11ミリの間隔は“大発見”と言ってもいい。微弱電流を作り出す機能も血流やリンパの流れを高めて、むくみもたるみもセルライトもオフしてくれる。
一方、従来のハンディソニックは、言ってみれば“アンメルツ”のような形をしていて、リフトからイオン導入、ディープクレンジングまでできるようなものが、ひとつの永久定番となりつつあったが、こちらの方でも進化が始まり、不思議な形状のものが次々登場してきている。
たとえばこの細いトングの形をしたマッサージ器(c)。小顔づくりで定評あるカリスマ美容整体師の、手の動きをそのまま再現するためにこうなったというが、二股の片方を口の中に入れ、内側からも頬の肉を挟んで頬をピンとさせ、ほうれい線も目立たなくさせるという、まったくユニークな機器。この華奢なボディにEMSもマイクロカレント機能も搭載。二股とはいえ180度開くから顔中どこにでも使え、筋肉を引き締め、ゆがみやむくみにまで働きかける。
そして、中国のカッサ板をヒントにしたプレートマッサージの分野も今みるみる進化していて、牽引しているのがアユーラ(a)。顔用、ボディ用に続き今度は頭皮用を作ったが、それがこのアンモナイトみたいな奇妙な形をしたプレート。しかしこの突起やギザギザのすべてが、頭皮に気持ちよく効きまくり、脳の疲れを取り、顔のリフトまでしてくれるのだ。
かくして“進化するほど不思議な物体になっていくのが美容機器”。それ自体がひとつの揺るがぬ法則となりそうである。そういえば料理道具もそう。進化する道具は不思議な形になっていく宿命なのである。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2012.05.01(火)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)