美白と美白以外の肌色ケアの相乗効果

 今年の美白界には、大きな異変が起こっている。シミ、ソバカスへの“美白効果”以上に、“肌色のムラを消し、均一にする肌色改善”のアプローチが紛れもない主役となっているのだ。

 言うまでもなく、これは美白の進化。従来の美白効果をもちながら、もっと別の視点から、肌のにごりやカゲや色ムラを生んでいる原因をていねいに取りのぞくことで、四方八方から肌色を正していくのだから。

 そこには、肌を黄ばませる糖化へのアプローチはもちろん、表皮の仕組みそのものが乱れているから、肌色がくすみにごってしまう症状にも働きかける、というふうに、さまざまなテクニックが凝縮されている。

 肌色のことなら何でもやるのが、美白とは決定的に違うところ。美白が効きにくくなっていた肌を効きやすい肌にするようなアプローチも加わるから、肌が本当に白くなる。色ムラも目に見えて薄くなり、“肌色が均一になる”って、ここまで美しいものなのかと、驚くかもしれない。

a 肌色の“エイジングにごり”の原因となるメラノサイト活性因子ADMを世界初発見。「ルシノール(R)CX」と糖化にアプローチする「YACエキス」でハイブリッド美白。ホワイトショットCX[ 医薬部外品]25ml ¥15750/ポーラ

b 世界各国でNo.1に選ばれた美容液が日本上陸。肌色を損なうチロシンの酸化反応をシャットアウト。イーブンベター ブライト セラム 30ml ¥8925/クリニーク

c 「ラクリニック・モントルー」のレーザー治療にヒントを得て開発された肌色老化(ダークスポット、赤み、色ムラ)に働きかける美容液。リプラスティ レザリスト コンセントレイト 40ml ¥26250/ヘレナ ルビンスタイン

 そもそも、肌色が均一な日ほど「今日はキレイね」と褒められる。鏡で見て「今日はキレイ」と自分の肌に納得する時、それも肌色が明るく均一な日だったりする。

 さらには、“化粧直し”をするのも、肌色がにごり、色ムラが現れてくるからで、化粧そのものが、肌色の欠点を消すための行為だったりするわけだ。肌がキレイって、要は肌色がキレイで均一なことを指すのだって、ここで気づいてほしいのである。

 だから“肌色改善”に成功すると、人は一気に若返る。若返りの揺るがぬ正解だったと言ってもいいのである。

 美白を一歩も二歩も進めたこの“肌色改善ケア”の筆頭にあげられるのが、欧米で空前の大ヒットを記録、世界中のベストコスメではなんと58冠に輝いているクリニークのイーブン ベター ブライト セラム。今回の肌色改善のトレンドも、この一品がきっかけとなって起こったもの。これは色素沈着を消す皮膚科治療の応用で、確実に色ムラを消していく効果が、絶大な評価を得た。

 一方、ヘレナのリプラスティは、VIPが世界中から集まる、スイスモントルーのクリニックで活躍する形成外科医とのコラボレーションによって生まれた“塗る美肌整形術”とも言うべきシリーズだが、ここでも今回“レザリスト”という、最先端のレーザー治療の効果を美容液にした整形コスメを開発。

 肌色がパッと明るくなる、今までになかったそのインパクトある手応えは、確かに美白を超えている。新しい結果を楽しみにしてほしい。

 そしてもう一品。このところ次々ヒットを飛ばしているポーラからも肌色改善ケアが、今春デビューしている。効き目で勝負する美白成分“ルシノール”を配合し、“効く美白”として有名となったホワイトショットのリニューアル版。

 “肌色の老化”に着目し、肌の仕組みそのものから肌色改善していくようなアプローチと、美白効果がダブルで働くハイブリッド美白は、“効く肌色改善”として必ずマークしてほしい。

 ともかく肌色のキレイこそ、スキンケアの普遍的正解。それを思い知るような仕上がりである。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2012.02.20(月)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)

CREA 2012年3月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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