オーバーナイトファンデーション
という考え方
それだけじゃない、たとえ一晩中つけていても肌の負担にならないという、オーバーナイトファンデーションの考え方が、気がつけば隅々まで行き渡り始めたのだ。というのも、ファンデーションのスキンケア効果が今までのものが気休めに思えるほど肌にとって本気の効果を発揮し始めていたからなのだ。
美容液ファンデというカテゴリーができて数年、例えばクレ・ド・ポー ボーテが“名品ラ・クレームのようなファンデーション”といって胸を張る究極のクリームファンデ、ル・フォンドゥタンが完成。これは、公にはお勧めしていないものの、仮にそのまま寝てしまっても翌朝肌がハッとするほど明るくキレイというような本物のスキンケア効果を持っているのだ。
まさしくそれを毎日つけ始めると、どんどん肌のクオリティーが良くなるという、スキンケアに勝るとも劣らない肌改善効果を持ったファンデーションが既に登場しているのである。元々そういう噂があったのが、キッカのソリッドファンデーション。
このファンデーションには、どんどん肌がキレイになりニキビ跡などもつるっとしてしまう的な噂があった。だからリニューアル版は、そうした肌改善効果をさらにグレードアップさせている。もちろん24時間つけっぱなしにしましょうとは言わないけれど、塗ってる時間が長くなればなるほど、肌がキレイになるなんて昔は考えられなかった。
ファンデーションは肌に悪い、それが、つけてた方が肌にいい、それがまた、つけるほどに肌がどんどんキレイになる……そこまで進化したのである。急いで帰ってメイクを落とす必要がなくなってくると、女はもっとだらしなくなるのだろうが、その分キレイの時間が増えるとしたら、それはそれで、喜ばしいことである。
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2017.08.28(月)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史