vol.38_ROGER&GALLET
今年で155周年
数々の逸話を生んだ誕生ストーリー
丸形のソープやフレグランス製品でお馴染みのロジェ・ガレ。最近は20代~30代にファンが増えて「ロジェ・ガレで香りにハマった」という人も少なくないはず。その歴史は古く、ブランドが創設されたのは1862年。実はもっと前からロジェ・ガレの歴史は始まっていたのである。
「ロジェ・ガレ誕生のきっかけとなったのが300年以上前からヨーロッパに伝わる天然の万能薬『アクアミラビリス』です。近代医療が生まれる前の時代、修道僧たちが“ガーデン・オブ・シンプルズ”と呼ばれる薬草園で植物を栽培し、その中から18種類の植物を厳選して秘伝のレシピを完成。アクアミラビリスを服用したり、全身に塗って傷のケアや伝染病の予防、美容などに用いられたのです」とは日本ロレアル ロジェ・ガレ事業部長の栗林水都さん。
その効用はまさに“驚異の水”だったようだ。1727年、アクアミラビリスの秘伝のレシピを受け継いだイタリア人の薬剤師がケルン大学の医学部にて“処方”として特許を取得。その子孫にあたるジャンマリ ファリナがレシピを受け継ぎ、1806年「オーデコロン ジャンマリファリナ」と名付けて販売を開始。その効果の高さからヨーロッパ中の宮廷御用達になったという。
「愛用者の中にはナポレオン一世をはじめ彼の妹であるポーリーヌ、英国ヴィクトリア女王も」(栗林さん)
当時はムスクやアンバーなど動物性の香りが主流だったそうでオーデコロン アクアミラビリスの軽やかな植物性の香りが新鮮だったのだろう。
そして1862年、ジャンマリ ファリナの店を引き継いだ姉妹の結婚相手であるアルマン ロジェとシャルル ガレにより、パリ・サントノレに香水専門店「ロジェ・ガレ」が誕生する。オーデコロンのオリジナル処方は現在もロジェ・ガレの顔として人気の香りに。日本に上陸したのは、「年代は不明ですが、日本に輸入されて初めて市販された香水がロジェ・ガレと言われています。夏目漱石の小説『三四郎』にもロジェ・ガレの名前が」(栗林さん)
150年以上にわたる歴史の中で明らかになった18種類の植物とは、サンダルウッド、ネロリ、ラバンジン、レモン、ダマスクローズ……全部知りたい人はロジェ・ガレのサイトで確認してみて。
2017.07.27(木)
文=吉田昌佐美
撮影=吉田健一