国籍も年齢も宗教も、性別も越えた様々な愛のかたちがある。この街だから生まれた愛は、自由で自信に満ち、希望に溢れている。そんなNYで輝く4つの愛の話を前後篇の2回に分けてお届けします。
後篇では、世界中に生活拠点を持つレバノン系アメリカ人と、NYを拠点に暮らすブラジル人のカップル。そして30年以上もNYで生活を共にしてきた同性婚の先駆カップルを紹介。薬指には編集部がリコメンドしたティファニーのリングが輝く。
ジェットセッターたちの多様な愛の交差点
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Tamer Amr(タマー・エマー) 不動産ディベロッパー 45歳
NYとは空港のような街かもしれない。多様なカルチャーを持つジェットセッターたちの交差点……。ブラジル人のララとレバノン系アメリカ人のタマーもそんなジェットセットカップルだ。出会いはスペインのイビザ島だが、カップルになったのは2年後のテキサス。
「タマーのパートナー会社がF1のスポンサーをするから見に来ない? って誘ってくれたの。彼はクライアントのアテンドでストレスフルな状況ながら、私を優しく気遣ってくれて、すっかり恋に落ちた」と、ララ。その後、ブラジルをタマーが訪れたり、タマーが拠点とするチューリッヒにララが滞在したり、デートの場所は世界各地に及んだ。
タマーは「子どもの頃はアメリカやヨーロッパ、中東など、4年以上同じ国に住んだことがなかった。今もスイスに5~6カ月、NYには2カ月、あとはインドやメキシコ、日本、ニュージーランド、ドイツなどを巡る生活」だという。
もちろん、世界を股に掛けた遠距離恋愛を続けるのは、タフに違いない。
「お互いインディペンデントであることが大事。そしてオンとオフの区切りをしっかりつけるのが秘訣だと思う」とララ。タマーは「ふたりがそれぞれのキャリアを築く上でずっと一緒にはいられない。が、今はFaceTime やスカイプ、WhatsAppなどで、世界のどこにいても、自分が何を着て食べて、どんな気持ちでいるかをシェアすることが可能。お互いが日々コネクトしているという気持ちを持つことは、ポイントだね」
そして年に数カ月であれ、一緒にいる時はクオリティの高い時間を過ごすことを大切にしているという。
「もともと旅が好きで、NYに住むのが夢だった。だから彼と出会い、この街を拠点に仕事ができて本当に感謝している」と話すララ。一方タマーは「ララと出会う前はいつも数年先のことばかり考えてストレスフルだったけれど、その日を楽しみその瞬間を生きる、というブラジル流人生術を彼女に教えてもらったよ」と笑う。一緒に過ごす時間ではなく質が大事。ジェットセッターでなくてもそれは同じかもしれない。
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2016.07.15(金)
Photo=Hiroyuki Seo(aosora)、Fumito Shibasaki(donna/still life)
Text=Akiko Ichikawa
Hair & Make-up=Tamami Mihara
Edit & Styling=Mami Sekiya
Coordination=Yasuyo Hibino(fish*co.)