象にまたがり森の中を2時間のトレッキング

象と象使いが暮らす集落。まるで時間が止まってしまったかのような場所が、リゾートの敷地内にある。

 リゾートの敷地内には、象と象使いたちが暮らす集落がある。この日は、ここで象の定期的な健康診断が行われているというので参加してみることに。象たちの健康診断も、象使いの大切な仕事だ。脈を測り、目や舌の色を見て、耳の臭いを嗅ぐほか、皮膚は乾燥していないか、耳の後ろにハリがあるかなど、全身をくまなくチェックする。背丈は脚回り、体重は胴回りをメジャーで測ることで推定できるのだという。

左:象の健康診断表。ここに、背丈や体重、全身の状態を記入する。
右:全身をくまなくチェックしている象使いに、象は体を委ねる。まるですべてを理解しているかのよう。

 一連の基本動作を学んだ後は、いよいよトレッキングだ。リゾートの周辺にある緑豊かな森の中を歩く。乗り方を学んだとはいえ、最初は怖くて、落ちないようにするだけで精一杯。だが、バランスをとれるようになると、樹上の朝露や花など、ふだんは見ることができないものが視界に飛び込んでくる。2時間のトレッキング中は象がお腹を空かせるので、おやつが欠かせない。途中、何度かおやつのバナナをあげながら歩く。

おやつのバナナを頭上から差し出すと器用に鼻でキャッチ。「もっとちょうだい」と鼻で催促。このしぐさが可愛らしい。

 森の中は、アーチ状に枝葉が垂れさがる鬱蒼とした道あり、急な上り坂ありと、バラエティ豊か。象が段差のある場所を登るときは、こちらも大きな揺れを感じるし、無邪気に道の草を食べ始めた象を気長に待つこともある。

 そうしているうちに、だんだん象への愛着が湧き、「心がちょっと通ったかな?」という気持ちになる。ときおり、象が耳をバタバタとさせるのは、気持ちがいい証拠。一瞬、怒らせたかとヒヤッとするが、「健康な象ならみんなやるから大丈夫」と象使いが教えてくれる。

トレッキングの後は気持ちのいいシャワー!

 注意点は、象使いの指示に従うこと、象使いがそばにいない象には近寄らないこと、象の後ろに回らないこと(象がどんなに賢く優しくても、後ろを見ることはできない)。そして、象をじらさないこと。おやつのバナナを与えるときに、いたずらしてじらすなど、もってのほか。象は頭がいいから、馬鹿にされたと思って信頼関係が崩れてしまう。

たっぷりトレッキングした後は象も喉が渇く。自ら水を浴び、ホースから水を飲む器用さに感心。

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2015.11.03(火)
文・撮影=芹澤和美