フレンチシェフの腕がなるサンドイッチ
素材にこだわる吉田さんは、今年の夏に、石臼を設置。小麦やライ麦を自家挽きしています。その石臼も古い物を手に入れて、自分で目を立て(石臼の溝などを調整する)、窯の横に据え付けました。
右:右から、臼で挽く前の小麦とライ麦。
滋賀県産の「ニシノカオリ」「農林61号」という小麦とドイツのオーガニックのライ麦を挽き、全粒粉、ライ麦のパンにそれぞれ使用。「挽きたての粉は香りが違います。パンがグンとおいしくなった」。
他には北海道産とフランス産の小麦粉を使い、発酵種は自家製。今はイチゴや木イチゴから起こした発酵種だそう。「冬にはリンゴやユズからも作ります。3カ月寝かせてから使います」。砂糖はオーガニック、塩も数種類を使い分けています。
フレンチの料理人だった吉田さんは「パンと相性のいいオードブルの注文も受けています」とにっこり。パンに使うベーコンやアンチョビも手作りのもの。アンチョビはイワシだけでなく、トビウオやサバなどでもオイル漬けを作るのだとか。
サンドイッチも、注文を受けてからベーコンをカットしたり、炒めたり。ザワークラウト(キャベツの漬け物)もコルニッション(小キュウリ)のピクルスもドレッシングも、すべて自家製。フランス産の粒マスタードをたっぷり使ったできたてのサンドイッチは、リッチな味わい。パンはサンドイッチ用に太めに焼いたバゲットです。ベーコンの代わりに締めサバなど魚をサンドすることも。
また、「フレンチの皿に残ったソースをすくって食べる感覚で」と、「天然エビのビスク」というパンまで作ってしまいました。エビの頭や魚でとったコクのあるダシを使い、中にはプリプリのエビが入っていて、まるで、フレンチの一皿のよう。縁の部分をちぎりながらソースを付けて食べるパンは、ワインやビールとの相性抜群。
素朴なだけでなく、フランス料理の要素が感じられる贅沢なパンがあるのが大きな魅力。ワインを飲みながら、大人の休日のおやつとして楽しみたい。
2015.09.27(日)
文・撮影=そおだよおこ