麺にタレをからめた「パンミー・ドライ」

ブキッ・ビンタンにあるショッピングセンター「パビリオン」のパンミー・ドライ。タレのからんだもちもちの麺と香ばしい煮干しのコンビが絶妙。

 ドライとは、茹でたパンミーを自家製のタレであえたもの。タレの材料は、オイスターソース、醤油、ごま油で、油分のない焼きそばのようなシンプルな味つけです。お肉、カリカリ煮干し、揚げ玉ねぎといった具を麺としっかり混ぜて食べましょう。小皿で提供されているピリッと辛いサンバルをすこしずつ足すのも忘れずに。さっぱりした味でつるつる何杯でも食べられます。

 そして、次に紹介するのは、パンミー業界に旋風を巻き起こした大人気メニューです!

特製の唐辛子タレ(器の中の右手前)を混ぜて食べるチリパンミー。クアラルンプール、チャウキット地域にある「KINKIN」など、専門店で提供。
コシのある麺はもちろん店内で手作り。チリの辛さと卵のまろやかな黄身が絡み合う。

 マレーシア人にも在住日本人にも大人気のパンミーといえば、ピリリと辛い「チリパンミー」。お店特製の唐辛子タレをパンミー・ドライに混ぜて食べる料理です。

 じわ~っと広がる唐辛子の辛味に、半熟卵のまろやかさが覆いかぶさり、イカンビリスのカリカリした食感と豚の脂身のまろやかなコク。複雑ともいえる色んな味わいが一杯のなかに潜んでいて、何度食べてもまた食べたくなる中毒性のある味。この店の様子を下記の動画にて紹介していますので、ぜひご覧ください。

 というわけで、今回はパンミーの魅力をお届けしました。最後にちょっとだけ、パンミーの思い出話をひとつ。私がパンミーを好きなのは、幼いころにおばあちゃんがよく作ってくれていた“だご汁”(熊本の郷土料理)に似ているから。もし、異国の料理なのに、食べた瞬間に好きになったり、なぜか何度も食べてしまう料理があったら、それはあなたの記憶に刻まれている大切な思い出につながっているのかも。パンミーを食べると、天国にいるおばあちゃんを思い出します。

クアラルンプールのチャウキット地区にあるパンミーの名店「KINKIN」。トゥンク・アブドゥル・ラーマン通りの1本裏の道にあり、けっして便利な立地ではないのですが、地元の人のみならず、在住の日本人にも大人気。1杯7.5リンギ(約200円)の麺のなかに、しこしことカリカリの食感、チリの辛味と肉のうま味。この複雑ともいえる様々な味がして、一度食べると忘れられなくなるのです。この至福の麺料理を「マレーシアごはんの会」事務局のやかべっちがレポートします。KINKIN No.40, Jalan Dewan Sultan Sulaiman 1, Off Jalan Tunku Abdul Rahman, Chow Kit

日本でも「パンミー」を提供しているレストランがあります!

マレーアジアンクイジーン渋谷(東京都渋谷区渋谷)
URL http://www.malayasiancuisine.com/index.html
※1日5食限定

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.09.18(金)
文・撮影=古川 音