山鉾のテーマを知って、より楽しもう

 それぞれの山鉾にはテーマがあります。能の脚本ともいえる謡曲は、安土桃山時代から江戸にかけて大流行したそうです。例えば、「黒主山」の御神体は大伴黒主で六歌仙のひとり。謡曲「志賀」の桜を仰ぎみるシーンが再現されています。日頃は能には親しみがなくとも、こうした背景を知っておくと、祇園祭をより楽しめるでしょう。

鉾には「御神体」と呼ぶ像を飾るところがある。これは黒主山の御神体。1789年に造られた。
黒主山の会所では説明を聞くことができる。
黒主山の懸飾品。右は「萬歴帝龍王図」。
山伏山の懸飾品。左上に見える「養蚕機織図」は江戸時代の文政年間(1818~30)の作とされ、布ができあがるまでの一連の工程を描いているのも、織物で栄えた京都らしい。
山伏山の正面を飾る五爪雲龍文様の刺繍。巡行の時は遠くからしか見えないので、宵山で精緻な刺繍を堪能したい。
宵山が終わり翌17日の巡行のために、懸装品の飾り付けが始まる。こちらは芦刈山。尾形光琳原画の「燕子花図」も見える。

京都祇園祭
URL http://www.gionmatsuri.jp/

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。