推薦人:金剛永謹さん(金剛流)
「かね正」のお茶漬鰻
能楽シテ方五流派のひとつの「金剛流」は、四流の宗家が東京を本拠地にしているなかで、関西に宗家が在住する唯一の流儀です。「舞金剛(まいこんごう)」といわれるように、豪快で大胆奇抜な離れ業を見せますが、華麗・優美さも兼ね備えています。その宗家を務めている金剛永謹さんは、金剛流26世でいらっしゃいます。普段おっとりとして穏やかな方で、いったん面を付けるとあれほど激しい舞を見せるとは想像できません。鉾町でもある四条室町上るから、現在の烏丸一条に移って11年目になりますが、今年の祇園祭山鉾巡行でも菊水鉾の一員として歩いておられました。
ご推薦のお土産は、しがらみがあろう中、「もらって美味しかった」というストレートな理由で、「かね正」のお茶漬鰻です。様々な相手に持って行くそうですが、特に東京の方には喜ばれるといいます。ご自宅用でもお求めになるそうです。
背開きにした国産鰻を白焼きにした後、昔から継ぎ足してきた秘伝のたれで炊く「お茶漬鰻」は、昭和初期にかね正の2代目藤居庄次郎氏が、小さな鰻の使い道として考案されたものです。適当な大きさに切り、ご飯の間に挟んで塩、わさび、山椒等のお好みの薬味をのせ、熱い煎茶をかけて食します。FAXで注文できますが、店頭でたれに浸かった鰻を自分で選ぶことをお勧めします。鰻1本から量り売りしてもらえます。お土産だけではなく、ご飯を買って宿で食べれば、旅の良い思い出になること請け合いです。
かね正
所在地 京都市東山区縄手通三条下る
電話番号 075-541-1171
FAX 075-541-1136
営業時間 9:00~18:00
定休日 日曜日
小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。
2014.08.27(水)
文・撮影=小林禎弘