Column：山口規子のMy Favorite Place 旅写真の楽しみ方

東洋と西洋が出会う香港＆マカオでスナップ写真撮影のコツを学ぶ

山口規子

LIFESTYLE

2015.5.28

スナップ写真のコツその4
「色遊びを楽しむ」

緑の車。この写真をPhotoshopで加工したのかと問われたことがあるが、ここには、正真正銘すべて緑の車が並んでいた。理由はわからないが路地裏でこの状況を見つけた時は私も驚いた。

街にはいろいろな色が散らばっている。自然の中で見つける自然が作り出す美しい色も感動するが、都市では人工的に作られた色が多いため色探しが楽しめるのだ。一色で統一するもよし、グラデーションや補色の対比などを見つけるのもよし。

パステルカラーのトラム。

赤い扉と窓。

ここで注意するべき点はカメラ設定のホワイトバランス(以下WB)だ。太陽の下だからWBを太陽光に設定するのが一般的だが、敢えてWBをフィルターのように使う方法もあることを知って欲しい。雪の冷たさを表現するためにわざとWBを「電球」に設定したり、夕陽のオレンジ色をもっと濃くしたい場合は「曇り」に設定したり、一般的な使い方ではないWBの使い方もぜひ挑戦して欲しい。

赤い傘と黄色い壁。

赤ちょうちん。

カラフルな家々。

スナップ写真のコツ結論
「スナップを撮る旅は自己探求の旅」

最後に結論。スナップ写真の楽しみは自分の脚で歩いて、自分で構図を切り取り、自分でシャッターを押す瞬間を決めるという自分主体の自由気ままでわがままなところにある。

しかしその反面、自分自身をしっかり持っていないと撮れないのがスナップ写真でもある。スナップ写真を撮る旅は自己探求の旅にもなることだろう。「こんな自分もいたのか！」と新しい自分を発見するのも一枚のスナップ写真からなのである。うーん、写真は奥が深い。自分の言葉に酔わないうちにこの辺で終わりにしよう。

以上。次回は何のコツをお教えしようかと検討中。旅先の写真撮影でこんな時どうしたらいいの？など、取り上げてほしいテーマがあれば、CREA WEBの「掲載記事へのご意見・ご感想」フォームからご意見をお寄せください。

山口規子(やまぐちのりこ)
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、文藝春秋写真部を経て独立。現在は女性ファッション誌や旅行誌を中心に活躍中。透明感のある独特な画面構成に定評がある。『イスタンブールの男』で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、『路上の芸人たち』で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。著書にひとつのホテルが出来上がるまでを記録したドキュメンタリー『メイキング・オブ・ザ・ペニンシュラ東京』(文藝春秋)、『奇跡のリゾート星のや竹富島』(河出書房新社)や東京お台場に等身大ガンダムが出来上がるまでを撮影した『Real-G 1/1scale GUNDAM Photographs』(集英社)などがある。また『ハワイアン・レイメイキングしあわせの花飾り』『家庭で作るサルデーニャ料理』『他郷阿部家の暮らしとレシピ』など料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。旅好き。猫好き。チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会会員。